「野生に生きようぜ」組織にぶら下がらずに立つ~グローバルパートナーズ山本康二×インターン生・塚原太郎~

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written by 紺野天地

「若者と企業と世界をつなぐ」を掲げるグローバルパートナーズ株式会社(以下、GP)。代表取締役の山本康二社長は、その言葉を体現するように、これまで約700人の経営者を輩出してきました。

山本社長が育成の根底に据えている考え方が、「何かにぶら下がらず、自分の力で生きていく」ということ。その背景には若者への熱い思いがあります。

今回は、GPでインターンをしている塚原太郎さんと、「ぶら下がらずに生きるために」というテーマで対談の場を用意しました。「1兆円稼ぐ」という目標のもと高校生のときに自分でビジネスを始め、GPでもインターン開始からわずか14日で初受注を記録するなど成果をあげている塚原さん。世代の違うお二人に、思いの丈を語っていただきました。

 

山本 康二(やまもと こうじ)

山本 康二(やまもと こうじ)

1971年生まれ。1995年株式会社光通信に入社。28歳で取締役に就任し、インターネット事業部長、法人事業本部長を歴任する。常務取締役に就任した翌年の2009年、日本にアリババを誘致し、アリババマーケティング株式会社を創業。 2013年、社名をグローバルパートナーズに変更し、ドバイ駐在セールスチームによる市場調査・営業代行サービスを開始する。以降、YouTube事業やグローバル人材事業、海外進出支援事業をはじめ、国内外でビジネスを展開している。

塚原 太郎(つかはら たろう)

塚原 太郎(つかはら たろう)

2002年生まれ。大学4年。未就学児のころに始めたサッカーを17年間続け、中高では主将を務める。高校生のときに初めてビジネスに触れて物販やアパレル、SNS運用などを経験。夜な夜な仕事に没頭すると、気が付いたら食事を忘れてしまうことも。 YouTube番組「就活サバイバルNEO」をきっかけに山本社長と出会い、他社でのインターンを経てGPに入社。

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飯、自分で探せよ。敵、自分で逃げろよ。

 

――本日は「組織にぶら下がらずに生きる」という視点でお話を伺いたいと思います。

山本:僕が中高校生くらいから持ち続けている人生のメインテーマだ、これ。太郎、よろしくね。

塚原:恐縮ではありますけど、よろしくお願いします。

 

――早速ですが、お二人は「ぶら下がらないこと」をどう定義していますか?

山本:自分の力で生きていくことです。
例えば親って、愛すべき自分の子が自分の力で生きていけるように子育てをしますよね。動物も同じで、次世代が野生の中で生き抜けるように育てる。

僕は今まで何万人もの部下を育成したし、子育てもしました。そのうえで「自分の力で生きていけること=安定」っていうのがあらゆる考え方の根っこにあります。

塚原:権限や責任を持って、自分の意思で行動できることだと思っています。
親や上司の許可がないと……とかじゃなくて。他人に権限をゆだねると、会社であれば「上司がやってくれるから」という他責意識になりますし。

 

――塚原さんがそう思う理由は?

塚原:大学2年生ぐらいのときに、食わせてもらってるっていうのがシンプルにちょっとかっこ悪いなと思って。
同時に、自らが立てた目標を自分なりに試行錯誤して達成して、それで得たお金で大切な人を養ったり親孝行したりするのがかっこいいと考えるようになったんです。

山本:山本:なるほど。「かっこいい」っていうのがいいね。僕もそう思う。
今の社会って、「どこに属したら勝ちか」「どの会社で働くのがかっこいいか」って思っている人がたくさんいるでしょ。それは僕らの考えるかっこよさとは真反対。

「就職ガチャ」とか「親ガチャ」っていう言葉もそうだけど、根底にあるのは、自分が主体性を持っていないっていうこと。つまり、どこかにぶら下がっていれば安定だと思ってる。
僕は、自分で生きていけるとメタ認知したときに、これが「安定」だと思った。それ以外の安定はないっていう一択です。

 

――山本社長の育て方は「自分の力で生きれるようになること」が核にありますよね。

山本:そうです。「飯、自分で探せよ」「敵、自分で逃げろよ」。そんなふうに、いかに野生で生き抜く術を身に付けさせるかが、僕の教育の仕方であり愛情です。

もちろん貧乏になったり、いろんなリスクはある。けれど、努力して感性を磨いて体力をつけ、知見を広げるうちに、どんな状況でも飯にありつけて、敵から逃げられるノウハウを得ます。好きな場所で好きな人と好きなことをやれる自由を得る。これが野生に生きるパターンだと僕は思ってます。

 

必要なのは園児のころの本能

 

――「ぶら下がらない」という意識はどんな要因から生まれるのでしょうか。

塚原:自分の欲求とか生きる意欲にどのくらい正直かどうか、みたいなものが関係している気がします。
「何かができないから」とか「失敗が怖いから」とか守りに入るのではなくて、いかに真正面から自己実現に向かっていくのか。

山本:そうなると、なんで自分は生まれてきたのかっていう、人生観みたいなものになるのかな。それに正直に向き合うと、「何か大きなことを成し遂げたい」という思いが自然と芽生えるだろうから。

 

――意欲って、見失うことありませんか。

山本:僕は、人はみんな本能の部分で意欲を持ってると思うんです。
マリオのゲームに例えると、Aのステージは敵がゼロでまっすぐ進めばクリアできる。Bのステージは敵が強くて障害も多く、簡単にはクリアできない。どっちをやりたいか聞いたら、多分100人中100人がBを選ぶはず。

塚原:そうですね。

山本:ドラマだって漫画だってアニメだって、ピンチを乗り越えながら前進する主人公に惹かれて、その物語を楽しむ。ひとは元来、冒険が好きなんだよね。

 

――頭では分かっていても「周りがこうだから」と流れに抗えない人は多い気がします。

山本:だからこそ僕は「子ども力」が大事だと思ってます。
子どもの頃って、社長になるとか、アイドルになるとか、恐怖や不安みたいなものなしに大きな夢を口にしたでしょ。ウルトラマンになるとか。

塚原:ですね(笑)みんな「夢」を持ってました。

山本:そう、それが「本能」なんだよ。
「こうなりたい!」という思いがあったのに、だんだんできないことが増えていって、そのたびに可能性の扉を閉じる。そして最後は自分を社会に合わせて、ぶら下がリーマンになってしまう。
だからある意味、夢を失った人に必要なのは子どもに戻るための「後退・回帰」なのかもしれないね。

自分は「もらうため」に生まれたんじゃなくて「与えるため」に生まれたんだから。子どもに戻って閉じた扉を開けなおせ。挑戦しろと。そういうことだと僕は思う

塚原:たしかに友達と話していると、「ルールありき」「常識に乗っかる」ということに肯定的な人自体は少ないと思います。みんな心のどこかで、自分で道を築いて、そこを本能のままに進みたいと思ってるのかもしれません。

 

――塚原さんはGPで働きだしてから変化はありますか?

塚原:そうですね。謎の使命感のようなものが芽生えてきて(笑)
GPで働く中で、学校に通う子どもたちに向けて何かできないかっていう意識が大きくなってきたんです。

 

――といいますと?

塚原:やっぱり若いうちにどれだけ夢を大切にできるかって大事だと思って。ちょうどいま、スピーチをさせてほしいって学校にお願いしています。「こうあるべき」っていう意識を変えられるような話がしたいです。

 

弱みを伸びしろと捉える

 

――若者が自分の人生を歩むために、どんな行動が必要だと考えますか?

山本:違和感を抱いたら、それを口に出すことだと思います。「なんで女性は役員になれないんですか?」「なんでうちはフレックス制やらないんですか?」「なんで社長室に入っちゃだめなんですか?」って。
一人だけだと心細いし、干されてしまうかもしれないけど、みんなが口に出したら全体の雰囲気が変わると思うんです。

塚原:僕の場合は、自分自身がまだまだマインドが確立できていない部分があります。
だから、誰かに言う前に、自らが体現していくことですね。そうしたら自然と周りに影響を与えられるような人間になれるんじゃないかと思っています。

ちなみに山本社長は、誰かの背中を押すときにどんな言葉をかけていますか?

山本:言葉をかけるっていうよりも、とにかく本人にやらせてみるかな。自転車の補助輪を取るときみたいに。どんどんこけて、どんどん怪我をして、その中で前進する力や勇気を持てるようになると思うから。それを見守ってるイメージ。

 

――ほかに、塚原さんから社長に何かありますか?

塚原:ずっと聞きたかったことがあるんですけど。ぶっちゃけ、山本社長の強みってなんですか。

山本:僕の強みは、弱みを放置しないことかな。昔、光通信に出した履歴書にも「強みは弱みを弱みのままにしないことです」って書いた(笑)。

例えば、僕は元々男だらけのところにいたから女性社員との接し方がよく分からなくて、どうやったら打ち解けられるかを考えて、ドン・キホーテで盛り上げグッズを買ったりしたんだよ。そうやって少しずつコミュニケーションが取れるようになっていった。

「これができない」と思ったら、倫理的にやってはいけないこと以外は全部克服しようとすることができる。

 

――最近は「強みを伸ばす」という考え方が主流ですよね。

山本:それも大事かもしれないけど、弱みってまだ開拓していない部分だから、ふり幅がすごく大きいんだよね。可能性も手付かずであるわけで、耕すことでさらに強い自分になれます。

もっと大きい壁にぶちあたったときも、以前に乗り越えた経験が糧になって「自分なら超えられる!」って思えるはずだし、すごく大きな壁なら少しずつ登っていけばいい。僕は52歳だけど、60歳になったら今の100倍は成長してると思います。

塚原:山本社長でも、自分の弱みを理解したうえで、目の前の一歩から踏み出してるんですね。それを聞いたら、「じゃあ自分も!」と勇気が出ます。

 

自分の人生が映画だとしたら……

 

――明日からぶら下がらない人生を歩むために、大切な要素はなんでしょうか?

塚原:自分は「度胸」「勉強」「愛嬌」だと思います。エスカレーターでみんな左で止まってるのに右を歩いていくような、ちょっとした度胸。それと勉強。人と人のコミュニケーションにおいて愛嬌も必須です。

山本:自分の人生の主人公は自分なんだから、まず一度、野生に立ち返って、本能を磨くことですね。

 

――最後に、それぞれの後輩たちに向けて一言お願いします。

塚原:一度、プライドを捨ててみてください。常識や周りの目ばかりを気にしてこれからの人生を選んでも、それはかっこよくない。泥臭く野生に生きている人がかっこいいし、そのときはつらくても、5年後、10年後にきっと花が咲くと思います。

山本:ぶら下がるということは、その先には雇い主がいるわけです。その人たちの本音を直接聞きに言ってください。どういうふうに会社をつくってきて、社員のことをどう思っているのか。それが、自分の考え方が変わるきっかけになるかもしれない。

自分の人生が映画だとしたら、面白い映画にしたいだろうし、自分の人生が伝記になるなら、何百ページの物語にしたいはず。チャレンジしてください。どれだけ失敗しても、能力と人脈はなくならないし、何度でもやり直せるから。
 

【編集後記】

子どものころは経験のストックがないので、いつも初めて。一歩踏み出すたびにハラハラドキドキの連続です。けれど一歩に対する気持ちは純真だし、得た感覚は純粋で、そういう体験が今の自分を形作ってきたんだと思います。

山本社長、塚原さんの言う「子ども力」は、幼いころに培った経験の余剰で生きるのではなく、大人になった今からでも自分をどんどん新しく作り上げていくことができる。そんなメッセージとして私にも響きました。


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