同じ想いの仲間に来てほしい!一人親方から㈱Matsudairaの施工管理へジョブチェンジした上田さんの想いを紐解く
written by 大場春香
2000年創業。兵庫県三木市で屋根&外壁塗装をしている株式会社Matsudaira様(プロタイムズ三木店)。今回は施工管理の上田さんに取材しました。
20歳からシーリング職人として活躍されていましたが、51歳で松平社長に誘われジョブチェンジを決意。
元職人として抱えていた不良施工に対するジレンマやキャリアについてお話を伺いします。
インタビュイー:上田 充康さん
大阪府吹田市で長年シーリング(コーキング)職人として活躍した後、2020年に株式会社Matsudairaに施工管理として転職。
アニメ「エヴァンゲリオン」、音楽鑑賞、料理が趣味。
インタビュアー:大場 春香
キャッチコピーは「人生は、自分が幸せになるための宝探し。人に寄り添う言葉の紡ぎ屋。」
インビジョンの鼓舞屋(カスタマーサクセス)。国家資格キャリアコンサルタント保持者。
シーリング職人としてのキャリアについて
ーー前職ではシーリング工を務められていたとのことですが、まずは当時のお話を伺えますか。
20歳ぐらいの頃、先輩から「俺のところで働かないか」って誘われて、なんの仕事かも分からずに行ってました。最初の頃は何もできない状態でしたが、やっぱり何年も続けているとそれなりに仕事も増えましたね。実際自分が仕上げた作業をお客さんが「綺麗になった!ありがとう!」って喜んでくれたときは、面白く思えた瞬間でした。
松平社長とは、下請け時代の現場で知り合いました。5年くらいは、シーリング工事を外注いただいていたと思います。社長は締めるところは締めて、できないところは無理を言わないスタンスの現場監督さんでしたね。たまに四角いものを丸くしろ、みたいな感じのことを言ってくる監督さんもいたんですけど、そういうことはなかったんでやりやすかったです。多少の無理は言ってきますけど、無茶を言わないっていうのが他の方と違いましたね。
ーー当時職人のキャリアをどのようにお考えだったのですか?
職人さんって、意外と65歳くらいまで働けるんですよね。
基本的に経験を積めば積むほどお給料も少しずつ上がって、ある程度までいったら止まりますけど、その状態からは変わらないんです。でも年々できるスピードって絶対落ちてきてしまう。やっぱり若い方からは遅れをとってしまうんでね。正直周りの目が気になる人もいると思います。
それからシーリング業界は、めちゃくちゃ早い人だと1年くらいで一人親方として独立します。なので、自分で親方をしていたり、年齢を重ねて自分の働きがいくらの利益を生んでいるかを考えたりする人は、転職で悩まれるんじゃないですかね。
社長の熱意がなかったら、ここにはいない
ーーなぜ㈱Matsudairaに転職することになったんでしょうか?
松平社長が法人化を決意されたとき「職人じゃなくて一緒にやろう!」とお誘いを受けました。ですが、しばらく考えさせてください、と半年くらい時間をもらいましたね。正直、職人もそれなりに儲かるんですよ。それに自分で親方としてやっていたので、転職して、会社に入ったときにやっていけるのかなっていうのが、一番の大きな悩みでした。
でも同時に、元請けさんから不良施工を無理強いされるのがしんどいな、とも思っていました。本来打ち替えをしなければいけない工事も、元請けさんから打ち増しでいいよって言われて。結構こういう元請けさんが多いので、当時は「ごめんなさい」って思いながら工事をしていましたね。
*打ち増し工事:既存のシーリング剤の上に、新たにシーリング材を足す工事
本来は、改めてお客さんに打ち替えの工事が必要だと説明して、再度見積もりをして、双方にとって良い工事をする方が絶対いいなと思うんです。すぐ駄目になるって分かっているのに無駄な工事をして、お客さんに黙って直して、パッと見は綺麗になりましたよってお渡しするのは、やっぱり違うんじゃないかな。
10缶必要なところを4缶で対応してください、と指示を受けたこともありましたね。10缶あれば10〜15年保つところを、4缶だと2〜3年で劣化が分かってくると思います。業界のやり方にはずっと昔から違和感がありました。
ーー転職を決意されたきっかけはなんだったんですか?
松平社長の熱意ですね。良い仕事をしてお客さんにも喜んでもらって、Win-Winな関係で儲かればいいじゃないっていう考え方に共感しました。やっぱり下請けだと、どうしても費用に見合った工事しかできないもどかしさがあったので。適正な価格で、適正な良い工事をお届けできたらなって思えたのが理由かな。
社長にもシーリング職人の知り合いはいっぱいいたはずです。会社が三木市なので神戸の職人さんに声をかけるべきところ、他のシーリング職人はちょっと信用できへん、とわざわざ大坂の吹田にいる僕に声をかけてくださった。そもそも仕事に対する考え方が似ていたっていうのがあったんじゃないですかね。社長も職人さんを経験されて、元請けの指示に従うしかないジレンマを感じて会社を立ち上げているんで、思いは一緒な感じでしたね。良い工事をしたいっていう熱意がなかったら、僕、ここには来てないんですよ。
施工管理は職人とお客さんの橋渡し
ーー施工管理では具体的にどのような業務をされているんですか?
施工管理は、現場が始まってからの状況や材料の確認、写真撮影、工程管理などをしています。塗り替え交換日記で作業内容をご報告しているのですが、お客さんからの返信記入欄を設けているので、内容次第で職人さんと連携をとったり、現場に行ってお客さんに直接説明したりしますね。
元々職人だったんで、全然喋られなかったんです。お客さんからたくさん質問をいただくんですが、きちんと説明しないといけないと思っているので、繰り返しているうちに少しマシになりましたね。日常会話はまだ難しいので、今後の伸び代だと思います。そういった会話ができると、お客さんも心開いてくれると思うので。日常の情報や流行りものはちょっとでも知っておこうかなと努力はしています。
でも工事が終わった後に、お客さんにご感想シートを書いてもらうんですけど、それがコメントで埋め尽くされていたときはやはり嬉しいですね。「施工の最初から最後まで安心できました」「次もあればまたお願いしたいです」って言ってくれるのがすごい嬉しかった。
ーー職人の経験が、施工管理に役立つこともあるんですか?
職人のほうが建物に対しての知識がそれなりにあるので、現場調査に役立ちました。工事をする家がどれだけ劣化しているのかお客さんに伝えられて、そのためにこの見積もりになるんですよっていう風に、自然な流れでご提案ができますね。適切な見積もりを作れるようになれば、売上も上がるだろうから、施工管理としてのキャリアアップも可能になると思います。
あとは、職人さんの気持ちがある程度分かるので、頭ごなしじゃなく、こう言われた方がいいだろうなっていうのを考えながら伝えられるようになりましたね。コツというより感覚にはなりますが…。
良い仕事をしたいと思う人と一緒に仕事がしたい
ーー今後㈱Matsudairaをどのような会社にしたいですか?
「工事するならMatsudairaに任せたら安心」って周りが思ってくれるのが理想ですね。Matsudairaがお願いした工事を守れる職人さんが集まれば、必然的にそうなると思います。重要なのは工事をする人じゃなくて、仕事を受注したり現場調査に行く僕や社長と同じように、良い仕事をお客さんに提供したいっていう考えの方に入っていただかないといけないでしょうね。じゃないと入っても続かないと思います。
もちろんお金も大事だけど、したくない仕事をしてお金儲けはしたくないなっていう気持ちがないとこういう仕事はできない。良い単価で仕事できるから、打ち増ししようが手抜き工事しようがいいや、って思う人には向いてないですね。
今自分を騙した仕事をしてお金を稼いでいるけれど、自分の本当にしたかった工事をしてお金を稼ぎたいと思っている人がいたら、一緒に仕事したいなと思います。
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取材後記
「良い仕事をしていても、お客さんには意外と分からない。
だからお客さんからしたら綺麗には仕上がってるんやけど、それがまず普通なんです。」
職人でも施工管理でも、業界で感じるジレンマはまだまだ消えない。でも、想いが同じ仲間が集まれば、お客さんが安心して任せられる会社にしていける。
日常会話はまだ苦手と仰っていた上田さんですが、言葉の節々に職人として経験してきたからこそ伝えられる想いを強く感じた取材でした。
㈱Matsudairaのホームページ:https://protimes-miki.com/