株式会社つかもとの三代目社長が目指す、満足感の高い会社とは
written by 根岸春香
昭和37年から愛知県で土地区画整理、測量、補償調査等の事業を営む、株式会社つかもと様(以下敬称略)。春日井市にある本社にお邪魔し、3代目代表の塚本兼之(つかもとかねゆき)さんに、先代から代表を継いだ経緯や今後の計画についてお話を伺いしました!
インタビュイー:塚本兼之さん
株式会社つかもと 3代目代表取締役。生まれも育ちも愛知県春日井市。 26歳でつかもとに入社し、平成25年に父親の後を継いで代表取締役に就任。社長業の醍醐味は「決断すること」と話す。休日は大好きなカスタムバイク制作や、ブラジリアン柔術を楽しむ、アクティブな社長。
インタビュアー:清水 遼太
「働くかっこいい大人を増やす」をビジョンに掲げるインビジョンの営業担当。 学生時代から社会人の今も続ける陸上大好き人間。
前職は整備士。父から息子への事業継承
ーー26歳でつかもとに入社される前は、どのようなお仕事をされていたのですか?
自動車やバイクの整備士として、エンジンをばらしたりする重整備や、ショーに出すカスタムバイクを作る仕事をしていました。昔から分解して組み立てるということが好きで、整備に携わる仕事をしたいと考えていたんです。
大学に在学中、整備工場にアルバイトとして入社して、整備士の資格も取りました。入社1年後に大学を辞めて、その会社の社員として就職したんです。当時は大学生と整備士の両立が考えられなかったので。
ーーやりたかった仕事をされている中で、つかもとに入社された経緯を教えてください。
整備の仕事をして6年ほど経った頃、独立の話があったんです。その時に「やったことがない仕事をしてみたい」と思ったんですが、、、。他にやりたい仕事があるわけではなく、新たな扉を開くつもりで入社したのが26歳の時でした。もちろん、入社するということは後を継ぐことになる、と分かっていました。
ーー代表就任の時期については、何かきっかけがあったんでしょうか。
先代の父は、早めにバトンタッチしたいと考えていたようです。でも一番のきっかけは父が体調を崩したことですね。
私は入社してからずっと区画整理の企画運営の部署にいましたが、父の体調不良をきっかけに実務と並行して会社の総務や経営に関する業務を引き継いでいきました。
創業から60年の㈱つかもとが大切にする「正しく、早く、美しく」
ーー創業者はおじい様ということですが、創業当時のことも聞いていらっしゃいますか?
創業者の祖父は、春日井市役所の職員として区画整理担当をしてたそうです。55歳で定年退職する時に「今後、区画整理事業は民間企業がコンサルティングしていく時代になる」との想いから、会社を創業するに至ったようです。このような形で会社を創業することは、珍しいことだと思います。祖父の代で13年ほど、父の代で38年、私が継いで10年になるので創業から60年になりますね。
ーー孫にあたる塚本さんへ引き継がれて、60年も会社を維持されていることがすごいですね。塚本さんが入社されてから、大変だった出来事があればお伺いできますか。
私が入社した頃ですね。1番会社の規模が大きくて社員が70名ほどいて、名古屋市と静岡県にも支店があったんです。その規模を維持するために大きな借金を抱えたときがいろいろと大変でしたね。
もうひとつは、代表就任前に大きくした会社を縮小する時が大変でした。人員整理ももちろんありますが、会社の不動産や貸付の免除処分に走りまわっていましたね。会社を維持する上でいろいろなことがありますが、その当時に比べればマシに感じます(笑)
ーー代表に就任されてからも大変なことがあると思いますが、働く中で大切にしている言葉があれば教えてください。
「正しく、早く、美しく」「常に変化」「簡素に」の3つです。
2代目からの社訓「正しく、早く、美しく」については、ここが本質だと思っています。順番にも意味がありまして、まずは正しいものがあって、それを早く作る、さらに仕上がりは美しく作りましょう、という意味です。
街をつくる仕事は、途中から工事業者に委ねますので、最終的につかもとが提供できる成果物はプロジェクトに関わる書類や記録のみです。そういったものを正しく、早く、美しく作ることを大切にしています。
「常に変化」は、法律が変わったり、土地の需要が高くなったりといった、世の中の変化を捉えて、事業の「やり方」も変化していかないといけないということです。祖父の代から事業自体は、ほとんど変化していません。ここ2〜3年で民間向けの土地の開発手続きや登記手続きの業務が増えたくらいですね。
「簡素に」は言葉の通り、簡素‥超シンプルにという意味ですね。簡素化して余計な手間をかけないことも意識しています。
満足感の高い会社を目指して
ーー㈱つかもとを今後どのような会社にしていきたいと考えていますか?
劇的に規模を拡大するよりも、人や仕事の質を高めて、満足感の高い会社にしていきたいと考えています。具体的には、外部委託している業務を内製化することによって、利益率を上げていきたいですね。利益率が上がれば、働いている方たちの収入を上げることができますので。
人に関しては、段階的に若い世代を採用することで、社員の平均年齢を若返らせたいとも思っています。今の平均年齢50代前半から、5年後に40代前半くらいになっているのが理想ですが、技術継承と合わせて今後の課題でもあります。
今活躍してくれている60歳〜70歳の方たちが持つ技術やスキルを、40代くらいの方に引き継ぎながら入れ替わっていくのが好ましいですね。さらに言うと、その技術を引き継いだ方たちが一人前になる頃に、新卒の方にも未経験から学んでもらうことで、徐々に技術継承をしながら平均年齢が若返る、、、それが理想的な組織のあり方かなと考えています。
ーー“満足感”とは、具体的にはどんなことでしょうか?
社員の方がすでに得られている満足感は、自由な時間が取れるところですね。残業が少なく、休日をきちんと取れる会社です。資格についてはスキルを身につけたい、キャリアアップしたい方には、会社から講習や試験のサポートをしっかりしているので、その満足感も得られると思います。
私自身が、専門的な教育を受けていない状態で入社したバックグラウンドがありますので、資格を取る過程で専門的な知識を身に付けましたし、技術士や土地家屋調査士といった資格を取ったことで、その専門家になれました。そうやって技術と知識の補完をしていることもあり、資格は重要視しています。
ーーどのような方と一緒に“まちづくり”をしていきたいと思われますか?
私たちの仕事は、様々な知識を要求されますし、マニュアル通りにはいかないことがほとんどです。やはり柔軟に吸収してくれて、汎用性が高い方と働けると嬉しいですね。今いる社員の中でも、探求心がある方たちがとても活躍してくれています。
この仕事は“まちづくり”に直接通じる仕事なので、世の中に役立ったことが実感しやすく、これも満足感の一つでもあります。これから入社してくれる方と一緒に、安全で住みやすい“まちづくり”のお手伝いをしていければいいなと考えています。
取材後記
㈱つかもと様が携わるプロジェクトは何十年単位の長期にわたるという。私たちが開発中の工事現場を目にする何年も前から、土地区画整理や測量が始まっていることを知り、驚きと同時に長期間に渡るプロジェクト完成の達成感はどんなものだろうと想像しました。会社として満足感を高めたいというお話に、塚本さんの思いやりを感じる取材となりました。ありがとうございました!
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