150年の歴史を紡いできた学校制服のトンボ。“縁を大切に”を理念に掲げた会社で働く、2年目社員のリアルな声

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written by ダシマス編集部

時代とともに変化する制服の在り方。ジェンダーレスやLGBTQへの対応、気候変動への配慮など、制服に求められる役割は多様化しています。そんな新しい時代の要請に応えながら、学校ならではの伝統も大切に守り続けている創業150年の老舗アパレルメーカーが、岡山に本社を構える株式会社トンボです。

同社で企画提案課として活躍する田中美羽(たなか みわ)さんは、学校や生徒の想いを形にする仕事に携わっています。制服は単なる服装規定ではなく、学校の歴史や生徒の思い出を紡ぐ大切な存在。田中さんの仕事を通して、トンボならではの“ものづくり”と“人とのつながり”の魅力に迫ります。

企画提案本部企画提案課 田中美羽(たなか みわ)さん

企画提案本部企画提案課 田中美羽(たなか みわ)さん

幼少期から服やおしゃれに興味を持つ。大学では家政学部でアパレルや繊維素材について学び、在学中に繊維製品品質管理士の資格を取得。中学受験時に制服の可愛さで学校を選んだ経験から学校制服づくりに興味を持ち、2023年にトンボへ入社。現在は中四国エリアを担当し、「制服は学校・生徒の想いの象徴となる大切な存在」という想いのもと、新制服の提案業務に携わる。休日はカフェ巡りなどの趣味を楽しみながら過ごしている。

制服は学生時代の思い出の象徴。学校制服メーカーとして150年、進化を続けるトンボ

──まずは貴社について教えてください。

創業150年を迎えた老舗アパレルメーカーとして、学校制服を中心に、スポーツウエアや介護看護ウエア、ペット用品まで幅広い製品を手掛けています。岡山本社と東京本社の2拠点体制で、全国に営業拠点を設け、北は北海道から南は沖縄まで、全国の学生に制服を届けています。

──トンボならではの特徴・強みは何でしょうか。

時代や環境の変化に応じて、新しい制服の在り方を提案できることが大きな強みです。毎年、新商品とカタログの開発を続け、学校現場の課題に応える提案を行っています。

──具体的にはどのような提案を。

例えば、近年の気候変動の影響で夏場の暑さが厳しくなり、男子生徒がズボンを膝までまくったり、シャツの裾を出したりする着崩しが先生方の悩みの種になっていました。そこで私たちは、ハーフパンツとポロシャツを制服として採用することで、快適さと規律の両立を実現する提案を行っています。実際に、夏用ハーフパンツの採用は全国的に広がりを見せています。

──そうした制服の刷新は、どの程度の規模で行われているのでしょうか。

昨年度は中学校だけでも全国500校以上が制服を変更されました。これは私たちが関わった案件数ですが、それだけ多くの学校が制服の見直しを検討されている状況です。

特に近年は、ジェンダーレスやLGBTQへの対応を目的とした変更が増えており、従来の詰襟(学ラン)やセーラー服から、より柔軟な着こなしができるブレザータイプへの移行が進んでいます。また、ブレザー化によって、エンブレムや多彩なチェック柄など、学校独自のアイデンティティを表現できる要素も増えました。

 

デザインから着こなしまで。トータルで制服の価値を高める企画提案課の仕事

──田中さんは現在、どのような業務を担当されているのでしょうか。

主に新制服の提案業務を担当しています。学校が制服を変更される際、その学校の想いや歴史をお伺いし、担当営業とチームを組んで素材選定から導入後のフォローまで一貫してサポートさせていただいています。また、展示会の企画運営や、新入学生向けの制服の着こなしセミナーなども行っています。

──新制服の提案は、具体的にどのように進められるのですか。

まず、トンボで開発された新商品のサンプルをもとに、学校へご提案させていただきます。そこで「ここに刺繍を入れたい」「ステッチの色を金色に変更したい」といったご要望をいただき、それらを反映した試作品を作成します。

その際に重要なのが、実際の着用を想定した細かな調整です。例えば、胸ポケットに刺繍を入れると名札が見えづらくなる場合は、刺繍の位置をジャケットのラペル部分に移動させるなど、機能性と美しさの両立を意識した提案を心がけています。

──要望の聞き取りで工夫されていることはありますか。

基本的には営業が学校へ足を運ぶことが多いのですが、私も可能な限り同行するようにしています。人を介して話を聞くと解釈にズレが生じることもあるので、直接コミュニケーションを取ることを大切にしているんです。

岡山本社の場合、担当エリアが地方になることも多く、学校への訪問が難しい時もあります。そういった場合はWeb会議なども活用していますが、やはり現場で生の声を聞くことを第一に考えています。お客様の想いを確実に形にするためには、直接対話を通じた信頼関係づくりが大切なので。

ただ、学校への新制服の提案は企画部門だけで行っているわけではなく、営業、生産、物流など、すべての部署が一丸となって制服づくりに取り組んでいます。生産部門から「このジャケットの仕様はこちらの方が良いのでは」といった提案をもらうこともあり、部署間の連携が自然と生まれる環境です。

一人ひとりの力を結集してチームで動く。それは私たちが大切にしている“縁をつむぐ”という想いの表れでもあると思っています。

 

“縁をつむぐ”というトンボの想い。制服を通じて、学校の歴史と未来をつむぐ

──その“縁をつむぐ”ということを大切にされている理由や背景も教えてください。

私たちは丁寧に糸を紡いで服を作るように、学校の先生方や生徒さん、PTAの方々など、多くの方々とのご縁を大切につむいでいきたいという想いがあります。その積み重ねが、学校と私たちの信頼関係を築き、制服を通じた学校の歴史づくりにもつながっていくと考えています。

また、制服を通じてトンボと学校との縁をつむぐのはもちろん、今の生徒さんと未来の生徒さんとの縁をつむぐことも大切にしています。例えば、在校生の皆さんに制服のエンブレムやチェック柄を考えていただくことで、その学校ならではの歴史や伝統を形にし、それを後輩たちに引き継いでいく。そういったお手伝いができることに、とてもやりがいを感じています。

──そのような考え方を大切にされているトンボの社内・職場の雰囲気はどのような感じなのでしょうか。

先輩後輩関係なく相互に助け合える、とても温かい職場だと感じています。私自身、2年目で担当の学校を持つようになった時期に、業務に手いっぱいになってしまったことがありました。その時、上司や先輩も忙しそうに見えたので、なんとか一人で解決しようと考えていたんです。

でも、どうしても手が回らず上司に相談したところ、「声をかけてあげられなくてごめんね。みんな忙しそうに見えるけど、意外と大丈夫だから遠慮せず相談してね」と言ってもらいました。それ以来、より相談がしやすくなりました。

また、2ヵ月に1回の上司との面談や、本部長との1対1の面談機会もあり、キャリアビジョンや悩みを相談できる場も豊富です。自身の目標や希望について定期的に上司と方向性を確認できるので、安心して働けています。

 

「母校の新制服づくりという夢を抱いて」自分らしく働ける環境で見つけた新しい目標

──改めて、田中さんがトンボへの入社を決めた理由は何だったのか教えてください。

高校・中学時代、私自身も制服の可愛さに惹かれて学校を選んだ経験があります。制服は学生時代のキラキラとした思い出を象徴するもの。そんな制服づくりに携われたらと思い、学生服業界に興味を持ちました。

その中でトンボと出会ったのは、地元岡山で全国に向けて学校制服を提供している会社として知られていたからです。就職活動中、様々な会社の採用イベントに参加しましたが、トンボには特別な印象を受けました。社員全員の温度感が私にとって心地よく、就活生だった自分の意志を尊重して見守ってくれました。その姿勢から、これから社会人として成長していくための道筋を示してもらえる場所だと思えたんです。それが入社の決め手となりました。

──現在入社2年目とのことですが、仕事と向き合う中で大切にしていることはありますか。

キャリアと自分らしさのバランスを大切にしています。

仕事は人生を豊かにする大切な要素の一つですが、それだけに囚われてしまうのは違うと思うんです。私は仕事も、趣味も、好きなことも、すべてを大切にしながら、自分らしく過ごしていきたいと考えています。

そんなマイペースな性格ではありますが、人とのコミュニケーションは大好きです。自分の軸を持ちながら、周りの方々と関わり合える。そんな環境だからこそ、のびのびと働けていると感じています。

──今後叶えたい夢はありますか。

母校の新制服の改定に携わることです。現在は他社の制服を採用していますが、いつか必ずトンボの制服を採用していただき、その時には自分も担当したいと思っています。

先輩方の中には、実際に母校の制服改定に関わった方もいらっしゃって、その話を聞くたびに憧れを感じます。学校によって市場特性も異なり、地域ごとに強みを持つメーカーもある中で、一つひとつの提案を大切に他社にはない魅力的な提案ができるよう、日々研鑽を重ねています。

──最後に、どのような方ならトンボで働きやすいと思うか教えてください。

人を喜ばせることが好きな方が向いていると思います。特に営業や企画の部門は学校の先生方とお話する機会が多いので、相手の立場に立って考え、提案できる姿勢が大切ですね。

自分の好きなことや得意なことを活かしながら、着実に成長していける。そんな環境が整っているのが、私たちの会社だと思います。

 

(取材・執筆:大久保 崇

 

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HP:https://www.tombow.gr.jp/

求人情報:https://www.tombow.gr.jp/recruit/info/

 

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