未来のエネルギーを支える高山電業 “知恵と腕と優しさ”で成長し続ける地域密着型の電気プロ集団

レッド

written by ダシマス編集部

長野県に本社を構える高山電業株式会社は、創業から50年以上の歴史を持つ電気工事会社です。官民の公共事業から民間事業まで幅広く手がけ、地域に根ざした電気工事のプロフェッショナル集団として信頼を築いてきました。カーボンニュートラルの実現に向けておよそ15年前から太陽光事業に着手し、長野県北部では唯一となる施工から管理、申込みまでのオールインワン体制で顧客の期待に応えています。

公共事業の比率を7割に高め、4週8休を実現するなど、自社で働く人の幸せを第一に考えた経営改革も積極的に推進。そんな同社の代表取締役社長・藤沢仁(ふじさわ ひとし)さんに、会社の特徴や目指す姿、求める人材像について話を聞きました。

代表取締役社長 藤沢仁(ふじさわ ひとし)さん

代表取締役社長 藤沢仁(ふじさわ ひとし)さん

2019年に社長に就任。毎朝のサイクリングと散歩を日課とし、朝の陽ざしを浴びながら季節の移ろいや景観の変化を楽しんでいる。趣味の旅行では遺産や寺社巡りを好み、先人達の知恵や努力、造形的センスから学ぶことを大切にしている。各国の世界遺産巡りを将来の夢として持つ。若いリーダーとして、趣味と仕事のバランスを大切にしながら、人や社会との繋がりを通じて自身の人間性を高め、社員と共に楽しく働ける環境づくりに取り組んでいる。

脱炭素社会の実現に貢献。施工から管理まで一貫した太陽光事業が強み

──どのような会社なのか、簡単にご紹介いただけますか。

創業は今年(取材:2025年2月)で53年になります。1946年3月20日の創業以来、地域に根ざした電気工事を手掛け、官公庁や民間の幅広い事業を展開してきました。特に15年ほど前からは太陽光設備に着手し、現在では約800件の顧客カルテを持つまでに成長しています。

──貴社ならではの特徴はどのようなところにありますか。

太陽光事業に関して言えば、全てをオールインワンで提供している点が最大の特徴です。施工から管理、申し込み、営業まで全て自社で完結します。このような体制を整えている企業は、長野県北部では私たちだけですね。

太陽光事業は専門の事務員が2名、営業が2名、現場管理が2名、職人が6名という体制で運営しています。新規参入される企業も多いのですが、なかなか広がっていかないのが現状です。やはりノウハウの蓄積が重要で、私たちも長い時間をかけて築き上げてきました。

──なぜ太陽光事業に力を入れようと考えたのでしょうか。

先代である父が、時代の流れを先読みしていたのが大きいですね。日本全体でこの方向に進んでいくだろうという見立てがあり、率先して取り組んでいきました。

また、カーボンニュートラル、つまり脱炭素社会の実現に向けて、我々ができることを考えた結果でもあります。カーボンニュートラルには「省エネ」と「創エネ」の二つが必要です。省エネは電力を節約すること、創エネは電気を作り出すこと。この両方があって初めて脱炭素につながります。

我々の業界は末端ではありますが、エネルギー問題の一助となる仕事ができると考えています。また、長野県はカーボンニュートラル推進室を立ち上げる際に先代が関わり、県として取り組む体制づくりにも貢献してきました。政治的な動きと連携しながら、補助金の創出や勉強会の開催など、様々な角度から推進してきた経緯があります。

──実際のところ、太陽光の普及は環境問題の解決にどの程度貢献しているのでしょうか。

確実に良い影響をもたらしていると思います。電気を作り出すという点で環境負荷の低減に貢献していますし、長野県は廃材処理や分別にも非常に熱心に取り組んでいます。認定制度やJIS規格の整備も進んでおり、将来的な廃棄物問題への対策も着々と進んでいます。

さらに技術革新も目覚ましく、折り曲げ可能な太陽光パネルなど新しい製品も開発されています。日本に豊富にある資源を活用した製品も登場しており、コスト面でも改善が進んでいます。長野県はこうした取り組みの最先端を走っていると言えるでしょう。

 

4週8休の実現と公共事業の拡大。社員の働きやすさを追求した経営改革

──今後の企業としての展望について教えてください。

私は何より「働く人間が幸せであること」が大切だと考えています。業界や業種は様々ありますが、仕事があるということが一番の魅力ではないでしょうか。

私たちの仕事はエネルギーという人間の生活に不可欠な分野に関わっています。未来永劫とは言いませんが、社会のニーズが続く限り、この仕事は必要とされ続けるでしょう。また、電気業界は建築業界の中でも特に新しい商品や技術に接することができる、という点も魅力です。新製品や新技術の登場が多いため、常に学び、成長できる環境があると思っています。

当社は建築業でありながら製造業の側面も持っています。ものづくりをしながら営業活動も行い、お客様と直接つながることができるんです。単なる職人集団ではなく、人々の暮らしを支える仕事を通じて、お客様との対話や技術の向上、新しい知識の習得など、様々な経験ができるからこそ人間的な成長が実感できる仕事だと思います。

──そんな貴社の社内体制について、もう少し詳しく教えていただけますか。

他の電気工事会社と比べると、当社は特殊な体制を取っていると思います。一般的な電気工事会社は職人だけの集団であることが多いのですが、当社は職人が6〜7名、現場監督が6名、営業が3名、総務が3名、経理事務が2名、営業事務が2名という構成です。

太陽光事業では一気通貫のサービスを提供していると先ほどお話しましたが、一般的な建築案件でも同様に自社内で全工程を完結できる体制を整えています。これによって一人の社員が現場を経験した後に監督や営業など様々な役割を経験できるので、仕事の幅が広がります。お客様の要望をより深く理解し、それを形にしていく過程に関われることが、ここで働くことのやりがいにつながってくれているといいなと。

また、資格取得も積極的に奨励しています。社員たちは熱心に勉強に取り組み、夕方には自主的に勉強会が開かれるほどです。年に最低1つは資格を取ることを目標に、みんなが切磋琢磨しています。経験の浅い社員も、入社後1年もすれば立派に資格を取得し、成長していく姿を見るのは嬉しいことです。

──働きやすい環境づくりのために取り組まれていることはありますか。

休日の確保を重視しています。以前は土日も出勤があり、夜間作業も多かったのですが、現在は第一土曜のみの出勤で、4週8休を実現しました。

これは単に休日を増やしただけではなく、会社の事業内容そのものを見直した結果です。かつては閉店後の作業が必要な得意先もありましたが、そうした仕事は徐々に減らし、より働きやすい環境の中で効率的に成果が出せる仕事に切り替えていきました。

特に公共事業の割合を増やしたことが大きいですね。私が社長に就任した当時は公共事業の割合が1割にも満たなかったのですが、現在は7割まで高めています。公共事業は基本的に土日が休みなので、社員の負担は大幅に軽減されました。

また、LED照明への交換など新しい事業分野も開拓し、時代の流れに合わせて事業内容をシフトしてきました。顧客や事業内容を変えることで、より働きやすい環境を実現できたと思います。

 

お客様の声が届く会社であり続ける 誠実さを大切にした幸せな職場づくり

──今後、貴社ではどのような職種や人材を求めていますか。

これまでの太陽光事業と公共事業に加え、新たな柱として消防設備の点検業務を強化していきたいと考えています。電気工事業には消防設備業種も含まれていますが、現在は点検業務を専門業者に委託するケースが多いんです。しかし必要な資格があれば自社でも可能になります。3年前から社員に消防設備士の資格取得を奨励し、体制を整えてきました。あとは実際にその業務を担う人材が必要です。

また、地域の拡大も視野に入れています。現在は須坂市が中心ですが、長野市など周辺地域へも広げていきたいですね。実際、長野在住のスタッフが5名ほどいますが、興味深いことに彼らの多くは須坂の高校出身です。地元への愛着があるからこそ、通勤の負担を感じずに働いてくれているのではないかと思います。

──求める人物像についても教えてください。

今年の社内スローガンは「精一杯のサービスをしよう」です。その中で「知恵のある人は知恵を、腕のいい人は腕を、優しい人は優しさを」という言葉を掲げています。単に技術だけでなく、知恵を身につけ、そして何より人としての優しさを持った人間になってほしいという思いを込めています。

このスローガンは松下幸之助の考え方からインスピレーションを得て作りました。私はベッドの横や机の上、カバンの中にも『道をひらく』という本を置き、毎日欠かさず読んでいます。素直に、まっすぐに、誠実であるという人としての原点を大切にしたいと思っています。

──最後に、これから高山電業で働くことを考えている方へのメッセージをお願いします。

私が常に心がけているのは、素直に、まっすぐに、誠実であることです。これは経営の原点だと思っています。日々の業務に追われていると忘れがちになることですが、人としての基本姿勢を大切にしたいと考えています。

私たちの会社の姿勢や社員の人柄は、意外なところから評価されています。例えば近隣のガソリンスタンドの方から「最近の社員さん、雰囲気いいですね!」と言われることがあります。ガソリンを入れるだけの短い時間でも、地域の方々はしっかりと見てくれているんですね。

そうしたお客様からの声は、会社の健康状態を示すバロメーターだと思っています。逆に何も声が届かない時が一番危険です。良い評価も悪い評価も、声として届くということは、それだけ存在感があり、特徴がある証拠だと思うんです。

私はこの業界に携わることができた人は幸せだと思っています。毎日の暮らしに欠かせないエネルギーに関わり、人々の生活を支える仕事ですから。そんな大切な仕事に一緒に取り組む仲間と出会えることを楽しみにしています。
 

(取材・執筆:大久保崇

 

高山電業株式会社について

ホームページ:http://www.takayamadengyo.com/

採用情報:https://hr-hacker.com/takayamadengyo/job-offers


 

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