最初は筋トレが仕事!?サイディング職人として働く面白さとは
written by 斉藤彩
突然ですが、皆さんは「サイディング工事(外壁工事)」と呼ばれる仕事があるのをご存知でしょうか?
ざっくり解説すると、「サイディング」とは「家の壁になる板状の素材」の総称。
つまり「サイディング工事」とは家の壁を設置する、”家づくりに欠かせない工事”のことです。
岐阜県揖斐(いび)郡にはそんな「サイディング工事」を極めたプロ集団がいました。
今回「目の前の目標は東海1のサイディング屋さんになることだ」と話す代表の筒浦さんに、サイディング工事の魅力や株式会社サンハウスで働く人についてお話を伺ってきました!
インタビュイー:筒浦広幸さん
株式会社サンハウスの代表取締役社長。
祖父は家具職人、父はサッシ職人、叔父は大工という職人家系で育つ。
株式会社サンハウスは主に外壁工事を専門に行う会社だが「家づくりを最初から最後まで自社で提供したい」という想いから、令和2年9月に「Natural Life Design 株式会社」を設立する。
▼筒浦さんってこんな人
・趣味はサーフィンとキャンプ
・会社設立前は自身も職人として修行を積む
・体を鍛えるとプロレスラー体型になり、着たい服が着れなくなってしまう
・静かに闘志を燃やし、サンハウスを東海1のサイディング屋に導く
サイデイング工事とは「骨組みからカタチにしていく」仕事
ーーー本日はよろしくお願いします!
早速ですが、筒浦さんの今のお仕事内容を教えてください!
今の僕の仕事はほとんど営業ですね。
工務店さんに訪問して提案したりとか、社員の仕事をチェックしたりとか。
あとはお金の管理、新規事業の管理なんかをしてます。
ーーーサンハウスさんはいくつか事業展開をされているかと思うのですが、今一番熱い、力を入れている新規事業は何ですか?
まだやりだして半年くらいなんですけど、新築を建てる「Natural Life Design」という会社が一番熱いですかね。
ーーー営業だけでもお忙しそうなのに、新規事業も同時進行で大忙しですね…!
そうなんですよ。営業やってるだけでもちょっと偉いんですよ。
ーーーふふ。笑 筒浦さんの他に営業さんはいらっしゃらないんですか?
営業はいないんですけど、アドバイザーって呼んでるサポートの子がいますね。
僕らの営業ってBtoBなんで、通常会社さんから依頼がくるんですよね。
新規開拓は僕がやるんですけど、実際にお仕事いただきましたってなったときは、アドバイザーの子に外観の提案だとか金額の設定をやってもらって、その子と一緒に提案に行って、そのまま担当になってもらうっていう形ですね。
提案自体は毎回僕も一緒に行きますけど。
ーーー現在職人さんの募集もされていると伺ったんですが、家づくりのことを知らない未経験の人に家づくりの面白さを伝えるとしたらどんなところでしょうか?
僕ももともと職人で、最初は未経験から始めてるんですけど、一番初めに楽しいなと思ったのは、骨組みだけだった家が自分が施工することで家の形になるのを実感したとき。
何百種類とあるデザインを組み合わせて外観が仕上がったときは「あぁすげぇ、かっこよくなったな」っていう達成感がすごくありますね。
ーーーどんな感想よりも「かっこいい!」が先に来るんですね。
だと思いますね。
そのあとに性能だとか、施工品質だとか、そういうのにこだわって施工していく楽しみが出てくるんですよ。
他の職人さんより自分の方が丁寧だ、とか、自分の方が綺麗だ、とかね。
そういう職人気質な人たちも結構いますね。
あとは、僕最初はこの仕事、筋トレやと思って始めました。
ーーー筋トレですか!?笑
そう。なりたくなくてもムキムキになっちゃうんで。笑
今は職人の仕事はしてないのでぶよぶよになっちゃいましたけど、また1年くらいやったら体締まるんじゃないかなぁ。
ーーー工事で扱う材料って、一体どれくらい重いんですか?
1枚、2枚っていう数え方をするんですけど、だいたい1枚が30キロくらいあるんですよ。
それを1日2、30枚運ぶんかな。
単純に、1日900キロ分くらいの重りを触ってる感じですよね。
慣れれば言うほど大変じゃないんですけど、慣れてないと地獄みたいなもんすよ。
1ヶ月か2ヶ月すればどうってことなくなるんですけどね。
ーーーその重さに慣れる日が来るんですね…!
割とすぐ慣れますよ!
まぁ最初は持てないんで、2人1組とかになって運びますね。
若い子なんかはいい体になるんで、彼女いない子でも彼女できるようになるんじゃないですかね。分かんないけど。笑
そういう自分磨きみたいな楽しさもあると思いますよ。
あと1番は、お客さんに喜んでもらえることですね。
ーーーお客さんと直接お話するのは、お家が完成したときが多いんですか?
僕らの場合は合間合間ですね。
外壁を貼るタイミングって、まだ家づくりの中盤ぐらいなんですよ。
外壁を貼り終えて、足場をばらしてから家の中を作っていく、っていう流れなんで、うちは本当に途中の段階でしか関わらないんです。
それでもちょこちょこお施主さんがジュース持ってきてくれたり、「かっこいいね」とか「暑い中ありがとうね」なんて声かけてもらえるのが楽しかったりしますね。
若い子なんかは本当にやりがいあると思いますけどね。
残業がないのに帰りたがらない人が続出するふしぎな職場環境
ーーーサンハウスさんの社員さんは全員で何名いらっしゃるんですか?
まず妻が取締役でいて、現場で作業する男性が2人、工場で作業する女性が1人、アドバイザーというかアシスタントの女性が1人、あと外国人実習生が3人います。
朝起きて来ない新人とかには怒ったりもするけど、うちは優しい子が多いですよ。
ーーー筒浦さんが代表として「実は社員のためにこんなところに力を入れてるんだ」みたいなことってありますか?
基本的に休み取りたいときは自由に取ってもらってもいいし、逆にお金がいるから働きたいって言えば働いてもらってもいいし、そこらへんの融通はかなりきかせてるつもりではありますね。
それと、割と早い段階で責任のある立場になってもらって、任せちゃうスタイルにしてますね。
なので、わーわー上司に言われてやらないといけないって雰囲気ではなくて、自分のペースで仕事ができると思いますよ。
あとは会社でお酒飲んだりとか、コミュニケーションを取りやすい雰囲気にはしてますね。
コロナなんで最近は外に飲みに行くとかはできてませんけど。
ーーー昔はよく社員さんと飲みに行かれてたんですか?
コロナの前は社員さんとか下請けさんとか連れてよく飲みに行ってましたね。
あ、そうそう、うち社員は今の人数なんですけど、外注のアウトソーシングしてる職人さんが20組くらいいるんですよ。
そういう外注さんとも飲みに行くことが多いですね。
ーーー社員さんと外注さんが仲良くなったりもするんですか?
めちゃくちゃありますよ。
でもうちの社員は、あんまり飲み会には参加せず会社でバーベキューしてます。笑
急に始まるんでよくわかんないんですけど、コンビニで酒買ってきて、酒盛り始めたりとか。
そういうときは外注の人も呼んだりして、20人くらいで夜中までワーワーやってるんかなぁ。
ぐだぐだ酒飲みながら喋るのが好きな人が多いんでしょうね。
ーーーわ~、一番幸せな時間ですね。そういった会には女性のスタッフさんも参加されてますか?
だいたい夜の7時から始めて9時、10時くらいまでは一緒に飲んだり食べたりしてますよ。
ただうちの社員さんはみんなお子さんいるんで、「子供いるからそろそろ帰るわ」って帰りますね。
ーーーお子さんがいると、皆さんお仕事終わりの帰宅は早いですか?
そうですね。あんまり帰りたがらない人もいますけど。笑
33歳のアドバイザーの女の子は、今結構仕事が楽しいみたいで、自主的に遅くまでやってますね。早く帰れって言ってるんですけど。
うちは残業とかは全然ないんで、残りたい人は勝手に残って好きなことやっとって、って感じです。
もう何も干渉しないんで、俺にも干渉しんといてくれーって。笑
みんなこんな感じなんで、新しい子も絡みやすいとは思いますよ。
ーーー新しく仲間に迎えるなら、どんな人がいいですか?
一番は明るい子、ですかね。
男の子でも女の子でも、明るくて素直な子だったら。
それくらいかな。スキルとかはあんまり求めてないんで、人間性だけ。
あとは家づくりに興味がある子だったら特に楽しいんじゃないかな。
まだ公表してない密かな夢は「世の中にまだないもの」を作ること
ーーー今後どういう会社にしていきたいという想いや、理想像はありますか?
今の段階で事業が色々あるんですよ。
元々外壁がスタートで始めた会社なんですけど、サイディング工事以外に板金工事や塗装工事、断熱工事、新築工事があったりするので、一つ一つの事業部を独立させてそこに責任者一人ずつ置いてホールディングスみたいにグループ会社にしたいんですよね。
その方がやってる本人たちも会社任されてるっていうやりがいがあると思うし。
そういう、みんながモチベーション高く働けるような会社にしたいなと思ってますね。
あとうち、サイディングに関しては、「プレカットマシーン」っていう岐阜県に2つしかないマシーンを持ってるんです。
ーーー初めて聞きましたが、なんだか響きだけでかっこいいですね。
そうなんですよ。だから最先端ではあるはずなんですよね、うちの会社。笑
ただすごい機械があってもサイディングの職人としてのスキルがないと上手く寸法取ったりとか、加工ができなくて。
だから多分東海地区ではこのサイディングプレカットっていう方法で工事できる会社は2、3社しかないと思うんですけど、うちには機械もあるし、腕のある職人も揃ってるんですよ。
それで言うと、僕は東海地区ナンバーワンになりたいと思ってますね。
そのために今新しい仲間を募集してる感じかな。
ーーー最後に、筒浦さんにとって「働く」とはどういうことでしょうか?
自分の存在価値を認めてもらうことというか。
哲学的な感じになってしまうんですけど、みんな生まれてきたからには何か役割あがあると思うんです。
自営業なんで、世の中にないものを生み出していく、あるいは残していくっていうことが役割じゃないかなと思ってるんですよね。
それを子供とか周りの人に見てもらうことで、いい風に感化されてくれれば世の中良くなっていくだろうなと。
それが生きる意味というか。僕にとっては仕事が全てなんで。仕事しかないんですよね。
ーーーいやぁ…かっこいいですね…。
寂しい男でしょ。笑
子供にさ「うちの親父が作ったもんだ」って言われるようなものを残せたらいいじゃないですか。
今サイディング工事屋で東海1になりたいとかは思ってますけど、本当の本当にやりたい!っていう想いとしては、「世の中にない外壁材」とか、何か新しい商品を作ってメーカーになりたいと思ってるんです。
メーカーになれば営業とかしなくても「お前んとこからしか買えへん」って言ってもらえるじゃないですか。
ーーーそんな大きな野望があったんですね…!
そうですよ、野望の塊ですよ。
社員には恥ずかしくてこんな話ようしませんけど。笑
まぁでも喋ってるんでしょうね、酒飲みながら。笑
何か作りたいですね。うん、なんか作りたい。
ーーー筒浦さん、今日は素敵なお話をありがとうございました!
取材を終えて
取材中「経営者は孤独なもんですよ」と笑っていた筒浦さんですが、社員さんの働きやすさや”どうしたら仕事を楽しめるのか”を常に考え、「うちには腕のある職人が揃っている」と誇らしげに話す姿を見ていると、お互い恥ずかしくて言葉にしないだけで、社員の皆さんも筒浦さんを慕い信頼しているんだろうなと感じました。
サイデイング初心者にも分かりやすいように言葉を選んでお話をしてくださった筒浦さんに感謝の気持ちでいっぱいです。
次回はぜひサンハウスさんで定期的に開かれるバーベキューにお邪魔させてください!笑