栃木県の文化財ホテル『飯塚邸』で、一流のおもてなしをするナタリーさんって何者!?
written by 川西里奈
地方での暮らしを伝える連載第2回目。
栃木県那須郡那珂川町(なかがわまち)の中心地、馬頭商店街を歩いていると、『飯塚邸』という立派なお屋敷を発見しました!
よく見ると、外国人の女性がにこやかに出迎えてくれています!ここは一体…!?
ナタリー(Natalie Larsen)
オーストラリア・マランビンビー出身。東日本唯一の有形文化財ホテル『飯塚邸』でコンシェルジュを務める。
町の有形文化財が古民家ホテルに生まれ変わった!
__こんにちは!突然ですが、ここは一体何ですか?
ナタリーさん(以下、ナタリー):ここは、国登録有形文化財に指定されている、築200年の住宅をリノベーションした古民家ホテル『飯塚邸』です。私はコンシェルジュとして働いているナタリーといいます。
__ナタリーさん、よろしくお願いします!
ナタリー:早速、飯塚邸の中を案内しますね♪
「頭、気をつけてね!」と笑顔が素敵なナタリーさん。
ナタリー:部屋は全部で6部屋。それぞれコンセプトが違うんですよ。本宅は縁側から日本庭園を見渡すことができ、新宅A・Bにはベッドルームがふたつずつあります。
ナタリー:建物の歴史を感じながらも、インテリアはモダンで、快適に過ごすことができますよ。離れにある蔵のお部屋は、少人数や短期滞在の方にもおすすめです♪
__贅沢な空間ですね。すべてのお部屋に素敵なリビングやキッチンがあって、とても過ごしやすそうです。宿泊されるお客さんはどんな方が多いんですか?
ナタリー:外国人の方も多いですが、今は日本人の家族連れやカップル、若いグループで宿泊される方も多いです。
オーストラリアから夫も移住。那珂川町での暮らしは?
__ところでナタリーさんは、いつから日本に住んでいるんですか?
ナタリー:日本に住んで9年になります。那珂川町には飯塚邸がオープンした昨年の9月に移住してきました。
__飯塚邸で働く前は何をされていたんですか?
ナタリー:東京のホテルで働いていました。でも、私は元々オーストラリアの田舎のほうの出身なので、那珂川町のほうが落ち着きますね(笑)。
私は3年前に結婚をして、夫もオーストラリアから日本に引っ越してきました。それで、もう少しゆっくりと過ごせるところを探していて、飯塚邸の情報を見つけました。
田舎で外国人の採用をしているところはなかなかないですし、那珂川町はとても良いところで、本当に来て良かったです。
__なるほど!では今はご夫婦で那珂川町で暮らしているんですね。
ナタリー:そうですね。彼がオーストラリアでの仕事を辞めて、そのタイミングで日本に来ることになりました。でも大丈夫かな?と思いましたよ。だって20歳も年上ですよ。ちなみに今彼は60歳です(笑)。
__えー!そこから日本に来るってすごい行動力です。
ナタリー:いろんなタイミングがぴったりと合ったんですね。3年くらい経って慣れてきたみたいですが、日本語ももちろんできないですし大変ですよ(笑)。
でも那珂川町のことは好きだと言っています。彼もオーストラリアの田舎町出身なので、東京よりもこちらのほうが合っていると思います。
10年前、バックパッカーで日本を訪れ…
__そもそもナタリーさんが9年前、オーストラリアから日本に移住したのはなぜだったのでしょう?
ナタリー:私は昔、オーストラリアで合気道をやっていました。それがきっかけで日本に興味を持ったんです。
そして10年くらい前に、仕事を辞めてバックパックで日本を旅しました。その旅の間、とても親切な人たちにたくさん助けてもらいました。
__どんな事があったんですか?
ナタリー:青春18きっぷで日本のいろんな場所を回ったんですが、電車であるおばあちゃんと出会いました。お話をして、いっしょに乗り換えをして、「良かったら埼玉の越谷の家に泊まりに来ない?」と言われて泊まりに行きました。いっしょに日光を観光したりもしましたね。
そういう出会いがあって、日本人は本当に優しい…!と思い、日本語を勉強しようと決めて、秋田大学に入学しました。
__なんか自分まですごく嬉しくなりました(笑)ナタリーさん、日本語もとても上手ですよね。
ナタリー:日本で過ごすうちに、会話の中で単語を覚えましたね。日本語はむずかしいですが、興味があることなので勉強するのも楽しいですよ。
那珂川町のコンシェルジュとして
__飯塚邸でのコンシェルジュのお仕事はどうですか?
ナタリー:飯塚邸のことはもちろんですが、私の仕事は那珂川町の案内をすることでもあります。宿泊するお客様には、私の大好きなお店もたくさん紹介していますよ!
那珂川町のまち歩きマップ
「ここも、ここもおすすめ!」といっぱい印をつけてくれました。
那珂川町には本当においしいお店がいっぱいです。自然や夕陽がきれいな露天風呂もあるし最高ですよ〜!
__那珂川町での暮らしを満喫されているのが伝わってきます!
ナタリー:とても楽しい町です。近所の人にどこで会ってもみんな話しかけてくれて、「家に遊びに来てね」と言われたり、とってもフレンドリーです。なんだかもう、ずっと住んでいるみたいです(笑)。
秋田に住んでいた頃、「ケーキを焼いたよ〜」とご近所の人からのお裾分けがあったりしましたが、東京の生活ではご近所同士でも挨拶もなくて寂しかったですね。
なので、那珂川町に来て懐かしくなりましたよ。人が本当に温かいですから。
合気道や祭りといった日本文化のことも、日本人のことも大好きなので、これからもずっと那珂川町に居たいなと思います。
ナタリーさん、ありがとうございました!
取材を終えて
知らない町を旅するとき、そこでの出会いは何よりもかけがえのない思い出になります。
ナタリーさんのあたたかい笑顔と心遣いは、飯塚邸で過ごす贅沢な時間をさらに特別なものにしているのだと思います。
「日本人が大好きです!」という真っ直ぐな言葉に身が引き締まった、今回の取材でした。
▼飯塚邸についてはこちらから!
https://iizukatei.ohtawaragt.co.jp/