自信をくれたのは、仲間と自分自身だった。多能工企業・明新の創業メンバーが語る職人たちの絆

パープル

written by ダシマス編集部

防水工事を主軸に、住宅建築やメンテナンスに特化した事業を展開する株式会社明新。前回の笹原社長のインタビューに続き、創業以前からコアメンバーとして活躍し、メンバーの指導・育成も担う杉山 直樹(すぎやま なおき)さんにもお話を聞きました。

とあるご縁があり、笹原社長の下で働くこととなった杉山さん。「人間関係も良好で、楽しく働ける会社」と、明新への愛情をのぞかせます。しかしその道のりは決して平坦ではなく、「本当にこの道でいいのだろうか?」と迷いを抱える期間が長く続いていたそうです。杉山さんの心を変えたきっかけは何だったのか?秘められた過去には、思わずグッときてしまう、仲間との絆やご自身の努力がありました。

株式会社明新 杉山 直樹(すぎやま なおき)さん

株式会社明新 杉山 直樹(すぎやま なおき)さん

1985年山形県生まれ。調理師や足場工事など様々な職を経て、20代後半で明新工業(現・株式会社明新)に入社。当時3人のみの創業期から防水工としてキャリアをスタートし、後進の指導を通じて職人としての責任を実感。現在は若手職人の育成と現場管理を担当しながら、施工管理技能士の資格取得を目指し、日々研鑽を重ねている。

マルチスキルと職場環境が強み。建設業の「3K」イメージの逆を行く現場

――最初に、杉山さんの自己紹介をお願いいたします。

生まれも育ちも上山市で、2012年頃から社長の笹原と一緒に防水工の職人として働き始めました。現在は作業現場で職長として現場管理をしたり、お客様宅にお伺いしてご要望のヒアリングやお見積もりのご提案をしたりと、さまざまな仕事を任せていただいています。

――杉山さんは創業以前から笹原さんと一緒に仕事をされているのですね。明新を古くから支えてきた杉山さんが考える、自社の強みを教えてください。

社長も記事で触れていますが、防水だけでなく塗装や左官など、多岐にわたる施工を自社で完結できるのは大きな強みだと思います。職人一人ひとりが「多能工」というさまざまな技術を兼ね備えている状態を目指しているので、外注によるコストやリスクを削減できますし、その分お客様にも還元できると考えています。

あとは、働く環境ですね。どの会社でも人間関係で悩まれる方はいると思うのですが、弊社の雰囲気はとてもいいと個人的には思っています。私はもうすぐ40歳になる年で、一番若いメンバーは23歳です。年齢が離れていたとしてもお互い休憩中に楽しく冗談を言い合ったり、フラットにコミュニケーションを取ったりしているので、風通しはいいと思いますね。

▼笹原社長の記事

「多能工職人を増やして業界を盛り上げたい」建設業が嫌いだった若手社長が、防水工事の会社を経営する理由 | 株式会社明新

――建築業といえば厳しい職場環境をイメージする方も多いのではと思うのですが、貴社は和気あいあいとした職場なのですね。

「3K」というマイナスイメージを連想させる言葉もありましたが、業界全体で以前のような厳しい環境は改善されている傾向があるのではないかと思います。指導や教育のために伝えるべきことを伝えることはありますが、メンバーみんなで楽しく働ける組織はできているかなと。

 

フリーターから創業メンバーへ。下積み時代に寄り添ってくれた社長への感謝

――明新に入社するまでの経緯を教えてください。

社長と出会う前は、飲食店で3年ほど働いていました。前職を辞めて1年ほどフリーターをしていた時に、地元の同級生で親しい友人だった社長の弟さんから、兄の仕事を手伝ってくれないかと声をかけられたんです。

最初は断りました。二十歳くらいの頃に一度だけ建築現場で働いた経験があり、その時の厳しい環境が強く印象に残っていたので……。ただ、フリーターの現状を変えたいという思いもあり、再度声をかけていただいた時、アルバイトでもいいということだったので始めてみることにしました。

――そのような経緯があったのですね。若手時代のことを振り返って、印象に残っていることなどはありますか。

働き始めて2年目の頃、国家資格である一級塩ビシート防水技能士の技能試験の練習をしていた時のことが、今でも忘れられません。寒い冬の夜遅くまで、社長が野外で練習に付き合ってくださり、具体的なアドバイスをいただきました。

当時は建築や防水について何も知らない素人で、現場でも手伝いすらろくにできないレベルだったと思うんです。プライベートでもたくさん面倒を見ていただき、当時のメンバーの中で一番迷惑をかけただろうと思いますが、それでも見捨てずに育ててくださった社長には、感謝の気持ちしかありません。

――杉山さんがかつて社長にしてもらった分だけ、今後輩の皆さんに寄り添えるような、そんな部分もありますか。

それはありますね。社長にしていただいた分にはまだまだ及びませんが、若いメンバーにはご飯もたくさん食べさせてあげたいですし、困ったことがあればいつでも助けてあげたいと思っています。

社長は何事も率先して先に進み、背中を見せてくれるので、私たちは安心してその背中を追っていけるんです。私は現在、国家資格4つを含む計14の資格を持っていますが、今も新たな資格取得のために勉強中です。社長の姿を見ていると、できることを増やし続けたいという気持ちが自然と湧いてきます。

これからは私も若いメンバーに対して、背中を示せるように頑張っていきたいですね。

 

不安だった自分に自信をくれたのは、継続と仲間やお客様の励ましの言葉

――先ほど保有資格が14ほどとお話しされていて、その多さに驚きました……!資格取得に向けたモチベーションアップの仕組みがあるなど、何か理由があるのでしょうか。

仕組みというよりも、会社全体で「資格はつねに増やし続ける」というのが当たり前の価値観としてあります。資格が一つ増えることは自分のできることが増えた証明でもあるので、頑張れば頑張るほどモチベーションは雪だるま式に高まりますね。

若手の頃は先輩の鞄持ちくらいしかできなくても、経験とともに資格が増えることで一人で現場を収めるようになれます。そうした経験が自信につながり、もっと成長したいという気持ちにつながっていくのかなと。

と言いつつも、私は最初の頃はまったく自信なんてなかったんですよ。むしろ自信がなかった時代がかなり長かったというか……。

――そうなんですか!なぜ長きにわたって自信を持てなかったのか、伺ってもよろしいでしょうか。

先輩に言われたことをただその通りにやることしかできない時期が長くありました。それは単に、自分がこの仕事に本気で向き合えていなかったからだと思います。仕事そのものに悩みはなかったものの、本当にこの仕事を続けていくのだろうかという迷いがずっとあって、なかなか腹が決まらなかったんです。

不安を抱えながらも、出勤すれば社長や同僚が気さくに話しかけてくれて、少しずつ資格も増やすことができました。3〜4つ目の資格を取得してようやく気持ちが固まったんです。

続けていれば自信もつき、仕事もより楽しくなってくる。そして結果的に、自分のキャリアを選択する勇気を、自分で見出せたのかなと感じています。

――たくさんの方の支えとご自身の頑張りによって、今のキャリアが形作られているのですね。

そうですね。本当に資格だけでなく、現場でいただいたお客様の感謝のお声や、同僚からの言葉にもパワーをもらいました。自分で現場をやり遂げたり、施工の仕上がりがきれいにできたときの、お客様からの「ありがとう」の一言は大きな励みになります。

12年前は本当に何もできない状態でしたが、今では防水以外にもちょっとした左官補修を一人で対応できたり、お客様にお見積もりを提示したりできるようになりました。当時は想像もしていなかったくらいに成長できたことを、誇らしく感じています。

 

安心して挑戦できる環境が、明新にある。自分が受けた分、全力で後輩を支えたい

――杉山さんが後輩の皆さんに指導をする際、何か心がけていることはありますか。

最初は一通りいろいろな現場を経験してもらいつつ、少し現場経験が増えてきたら本人の興味分野に合わせた現場を優先的に割り当てたり、指導内容を調整したりしています。一括りに「防水」といっても多岐にわたりますし、興味があることであれば、それだけ本人の吸収も早いですから。

反対に、本人の様子次第では、あえて少し苦手な分野に挑戦してもらい、克服のための機会を作ることも。もちろんその場合は、私や周囲がしっかりフォローアップを行っています。

指導する際は、ただ知識を伝えるだけでなく積極的に問いかけて、本人が考え知識を身につけてもらえるように努めています。メーカーによって材料の分量や組み合わせが異なるので、まずは自分で考え、わからない場合はどこに答えがあるのかを教えるなどして、自立を見据えた指導を意識しているんです。

――本人の得意分野や苦手などは、普段どのように確認するようにしているのですか。

一緒に現場に入っているときに「最近どう?」と軽く聞いてみることもありますし、現場への移動中での会話、あとは「今日一緒に飯でも行く?」と声をかけて仕事終わりに話を聞くこともありますよ。弊社は全体で8名と組織としてはコンパクトですが、その分意思疎通がしやすいメリットがあると感じますね。

――未来の求職者の方に、就職先として明新を推薦するとしたら、なんとお伝えしますか。

おそらく弊社は他の建設業と比較しても人間関係は良好で、楽しく働ける会社だと思います。最初のうちはできないことも多いと思いますが、その分一人ひとりに合った仕事をお任せしますし、しっかり育成する環境も整えています。

社長がかつての私にしてくださったように、若手メンバーが壁にぶつかってしまったときにはいくらでも話を聞くし付き合うので、安心して応募してきてほしいですね。

――最後に、杉山さんご自身の今後の目標を教えてください。

まだまだできることを増やしていきたいですね。資格取得はもちろん、最近はお客様に対面する機会もたくさんいただけるようになったので、より幅広い材料知識や防水以外の塗装・外壁に関する知識、金額算出方法など、知識も技術も伸ばして会社のさらなる成長に寄与したいです。これまでほとんどパソコンに触れてこなかった人生なので、見積もり作成などは1つの壁ではありますが(笑)。これからも楽しみながら前に進んでいきたいと思います。

 

(取材・執筆:神田 佳恵

 

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