【ダシマス老舗・カシワセ】挑戦を積み重ねた100年。社員の強みを活かす経営戦略で次世代を目指す

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written by ダシマス編集部

創業100年以上の老舗企業に焦点を当てる本企画。持続的な成長と成功をおさめ、時代をまたぎ社会に貢献してきた歴史を紐解き、その長い期間によって培われた文化や知見から、多くの人に気づきとインスピレーションを与えることを目指しています。

本記事では1923年に創業し、2023年で記念すべき100周年を迎えた株式会社カシワセ(以下:カシワセ)の代表取締役社長、柏瀬和之(かしわせ かずゆき)さんにご登場いただきます。

現社長で3代目となるカシワセ。創業当初はスプリングの生産から始まり、戦禍を乗り越えて金属加工の分野で製品を多角化させてきました。検査基準の厳しい車載向け製品も納品し、高品質のものづくりで多くの人の生活を支え続けています。

代替わりを経て経営スタイルに新たな風をもたらしながらも、中心に据える軸は揺らぐことはありません。つねに新しい価値創造に挑戦し、時代とともに事業を変化・成長させてきた等身大の経営スピリットに迫ります。

代表取締役社長 柏瀬和之(かしわせ かずゆき)さん

代表取締役社長 柏瀬和之(かしわせ かずゆき)さん

株式会社カシワセの3代目。カリフォルニアで環境学を学ぶために4年間留学。世界中から来た留学生たちと交流した経験から、様々な価値観を受け入れられる人間性を身につける。趣味はゴルフ、マラソン、国内外の旅行。

執筆:神田佳恵

執筆:神田佳恵

フリーランスライター。"何気ない人生にスポットライトを当てる"をテーマに、インタビュー・広報note・SNS・コピーなどの分野にて執筆活動中。コミュニティ運営や編集、マーケターとしても活動の幅を広げる。一児の母。夫と息子、note、推し、旅が好き。

大正から令和へ。時代とともに変化してきた事業内容と経営スタイル

 

――貴社の創業からの沿革について、お伺いできますでしょうか。

創業は大正時代、1923年に私の祖父がスプリングの製造工場を興したことが会社の始まりです。戦後祖父が亡くなったときに、私の父が2代目として後を継ぎ、長く経営者として会社を守ってきました。

2代目以降、スプリングにとどまらず板金のプレス加工やベンダー加工、マルチフォーミングなど、時代とともに金属加工の土壌で事業や製品の幅を広げてきました。顧客の要望に柔軟に対応しながら設備導入や新商品の納入を積み重ねてきたんです。

私は父から会社を継いで今年で7年目、会社は昨年2023年に、創立からちょうど100年を迎えました。現在正社員は6〜70名ほど、派遣社員も含めて100名弱ほどの世帯で営業しています。

 

――100周年おめでとうございます。元々貴社の社員として働き、その後社長に就任されたのでしょうか。

そうですね、元々は異なる企業で働いていたのですが、31歳のときに未経験でこの会社に入りました。会社のことも事業のこともわからないことばかりだったので、社長の息子とはいえ周囲の先輩社員から学ぶことばかりでした。

社長になってからも、社員に支えてもらいながら経営に奮闘しています。

 

――先代の社長とご自身、経営スタイルなど変化した点はありますか。

まさに経営スタイルは大きく変わったと思います。先代はいわゆる昭和時代のワンマン社長!といった感じで、強い力で会社を引っ張っていくタイプの経営者でした。ものづくりにも思い入れがあり、売上や利益を重視するよりも、新型の設備を積極的に導入して新しいものにチャレンジしていったそうです。そんな姿勢がお客様にも愛されていたと思うし、業界ではパイオニア的な存在だったそうですよ。

私は、どちらかというとバランサータイプの経営者だと思います。技術的な面は社員の方が知識も豊富だし、長けているのが正直なところ。であれば、社員の力を借りながらそれぞれの強みを活かして円滑に事業を進めていき、私は経営側にフォーカスするようにしています。新規案件についても、設備や技術、社員の状況などの全条件がそろわなければ、お客様にもすぐに「できる」と言い切れない保守的な性格なんです。

 

――経営やマネジメントにおいて、心掛けていることはありますか。

目的意識をしっかり持って物事を判断していくことです。特に人事においては、私個人や社員それぞれの感情など以上に、事業のゴールを達成する最短ルートを考えて采配するようにしています。

くわえて、経営陣が考えや社の方針、売上の柱となる案件などの情報を、しっかりと社員全員にも理解してもらうよう意識しています。一つひとつの業務や製品の重要性を認識してもらうことが、パフォーマンスの向上、そしてその先の売上拡大にもつながっていくと考えているんです。

 

顧客と社員、どちらも大切にしたい。社の存続のため、経営として苦しい経験も

――100年もの長い間続く事業を継承した柏瀬社長の考える、リーダーシップのあり方について教えてください。

就任して間もないですし、まだまだ若輩者なのでリーダーシップについて明確に答えられるものはありません……(笑)。でも大学時代、部活のキャプテンを務めていた頃の経験は意図せず活きているのではと思いますね。

その当時学んだのは、「世の中にはさまざまな人がいて、すべての人は自分の思い通りに動いてはくれない」ということ。それを前提としたとき、いかにうまく人の心を目的達成へ仕向けるか、70%でもいいから結果を出せるようにと考えています。

 

 

――社長に就任してから、苦しかった経験や大変だったことはありますか。

赤字製品の廃番交渉は大変でしたし、心苦しかったですね。先代のころから納品をスタートした製品なのですが、検査基準が厳しく見積りも売値以上に生産原価がかかっており、作れば作るほど赤字になる商品があって。生産ラインが逼迫したり、従業員も疲弊したりと負の連鎖を産んでいたので、これはまずいと社内で協議を重ね、納品停止の決断に至ったんです。

担当者と共にお客様のもとへ伺い、「止めさせてください」と頭を下げました。交渉の末なんとかご了承いただきましたが、代替品の生産が通常化するまでは納品を続けなければならず、完全に廃番できるまでに1年を要しましたね。

赤字製品をはじめ、自社にとってメリットがない商品は、経営目線で見定めて撤退を決断することが必要だと思っています。お客様はもちろん大切ですが、自社の状況を顧みないと会社の命である社員が離れていく原因にもなりかねませんから。

新しいビジネスを始めるのももちろん大変ですが、既存のビジネスを終えるのはこんなにも大変なのかと学んだ経験でしたよ。

 

――会社と社員を思っての苦しい決断だったのですね。新しいビジネスについては、現在どのように開拓されていますか。

私も含む5名ほどで営業活動はつねに行っていて、年に数社ほど新規顧客を開拓しています。すでにお取引のある既存のお客様からの追加引き合いやモデルチェンジの話はないか、フォロー営業も大切にしていますね。新規営業は主に弊社の常務や営業部長が、既存営業は営業部員や私が中心に行っています。

新規ですと、既存のお客様やお取引をしている銀行様からの紹介で営業させていただくことが多いです。競合他社よりも安価に、そして品質も高く製造できることをご説明し、見積提示することでご縁につなげています。1年ほどでようやく案件が実を結ぶイメージです。

 

新たな挑戦と誠実な姿勢を継続することで、さらなる100年後の未来を目指す

――この先の100年に向けて、どのようなビジョンを抱いていますか。

日を追うごとにデジタル化が進行している世の中ですので、金属加工にもデジタル要素を導入していかなければと思っています。製造現場で使用する検査機は専門業者が製作しているのですが、最新の画像センサーを組み込んだ設備導入にも挑戦したいですね。不良点数のカウントなど、できるところから自動化、省人化を取り入れていきたいです。

多くの仕事と豊富な設備を残してくれた父のように、私も後世へのバトンパスを見込んだ足がかりを作っていきたいです。

 

――100年企業を目指す経営者に向け、何かアドバイスをお願いいたします。

売上や利益だけを追い求めるのではなく、誠実な姿勢と高品質なもの・サービスづくりをし、相応の対価をいただくこと、お客様から過剰なマージンを取らないことが、経営の基本ではないかと思います。真摯に向き合い続けることで、お客様との強固な信頼関係が築かれるはずです。

そのうえで、常に新しいことに挑戦していく探究心を忘れなければ、会社も成長を続けられると信じています。

 

 

――最後にこの記事を読んでいる未来の貴社社員へ、メッセージをお願いします!

弊社は常に 社員の働きやすい環境を考慮し、互いに気持ちよく仕事ができることを大切に考えています。現場では社員同士が円滑にコミュニケーションを取れるような雰囲気づくりも配慮していますので、寡黙な方でも無理なく仕事ができるはずです。

人にはそれぞれ、その方の個性や強み、特性があります。社員がのびのびと活躍できる環境を整えていますし、若い方も積極的に採用したいと思っておりますので、ものづくりに興味がある方はぜひカシワセへの応募をご検討いただければと思います。

 

カシワセの詳細・採用情報はこちらから

HP:https://www.kashiwase.co.jp/

採用情報:https://www.kashiwase.co.jp/recruit/

 

 

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