預金と融資に特化した「笠岡信用組合」。金融の力で地域活性化を目指す本店営業部 猪原さんの想い
written by ダシマス編集部
岡山県笠岡市に本店を置き、“かさしん”の愛称で親しまれている笠岡信用組合(以下:かさしん)。「地域のためにはたらき地域と共に発展する」を信条に、1952年の設立以来、地域密着型の経営を続けてきました。
今回は、そんなかさしんに勤めて12年の猪原 康平(いのはら こうへい)さんにインタビュー。かさしんの特徴や同組合で働くことのやりがいなど、長年勤めてきたからこそ感じる“かさしんらしさ”を語っていただきました。
本店営業部 外交課長代理 猪原 康平(いのはら こうへい)さん
1990年生まれ。広島修道大学経済科学部卒業後、「地元の岡山で地域に根差して仕事がしたい」との思いから笠岡信用組合へ入組。現在は本店営業部 外交課長代理として、企業先への訪問や後輩職員の育成に従事。趣味は体を動かすことで、休日にはジムやサウナで汗を流しリフレッシュするなど、自身のメンテナンスも欠かさない。
預金と融資に特化する笠岡信用組合。地域との密なお付き合いができている証拠
――まずは猪原さんの経歴からお伺いします。
入組12年目で今は融資推進リーダーとなり、これまでの経験を活かしながら新規取引先の開拓を中心に業務を行っています。
最初の2年間は預金係として、窓口業務や後方事務を担当しました。その後1年間は貸付業務の事務処理を行い、4年目からは外回りの仕事に。一人でバイクに乗ってお客様のところへ訪問し集金業務や住宅ローン、車の購入に関する相談に対応するなどを約5年間担当しました。
その後、本店営業部の貸付課に配属。ここでは事務処理だけでなく、お客様への提案も行う両輪の仕事を2年間経験しました。
――かさしんはどのような金融機関か、その特徴を教えてください。
預金と融資に特化している点です。預金をお預かりし、お金が必要な方に融資する。非常にシンプルな経営をしています。
NISAや投資信託、保険を販売する金融機関が増えています。ですが投資信託は、お客様が得することもあれば損することもある。かさしんの経営方針として、「お客様に損失の可能性があるものは積極的に販売しない」という立場を取っているんです。
投資信託に関するご相談をいただいた場合は、かさしんと提携している「アイザワ証券」をご紹介しています。かさしんに相談してよかったと、お客様に喜んでいただけるよう、柔軟に対応するよう心がけています。
――預金と融資のみで経営されているのは大きな特徴ですね!そのような経営が継続できている理由は何なのでしょうか。
お客様のところへ足繁く通い、一軒一軒訪問し丁寧にお声かけをしているからだと感じています。
これは私がかさしんを選んだ理由でもあるのですが、他行が個人宅への訪問業務から撤退する傾向にあるなか、地域の高齢者のところに年金を届けたり、集金業務を行ったりと、職員が一丸となって地域に足繁く通っているんです。
また、訪問活動などを通じて、会社の社長や経営陣と定期的に顔を合わせる機会もあります。そうして関係性を築いていくなかで、新しい設備投資の話などを一番に相談していただけるようになっていく。そんな相談ごとに素早く融資の回答をすることで、融資残高を増やし、利息収入を得ています。
こうした取り組みが昔から継続できているからこそ、投資信託の手数料収入がなくても、順調に経営ができているのだと思っています。
オン・オフのメリハリがあり、明るく活気が溢れる職場
――かさしんの職場はどのような雰囲気ですか。
基本的に各支店のトップである支店長が明るく、リーダーシップを発揮しています。そのエネルギーに触発されて、部下たちも前を向いて目標に向かって頑張っているという印象です。全体的に前向きで活気のある雰囲気だと感じています。
仕事中は皆、真面目に集中していますが、昼食時などはリラックスしてコミュニケーションを取っています。オンとオフのメリハリがはっきりしていると思いますね。
また、かさしんには地元の人材が多いということもあり、職員同士、何らかの形でつながりがあることも多いです。そのためか、新しく出会う人と人間関係を築くスピードも速いような気がします。
――職場に関係することで、何か“かさしんらしい”といえることがあれば教えてください。
まず一つは、全17店舗に食堂があることですね。安価で栄養バランスの良い食事ができ、コミュニケーションの場としても重要な役割を果たしています。良い福利厚生の一つだと感じています。
また先週、毎年恒例の卓球大会をしました(取材:2024年9月)。
支店対抗のダブルス戦で、普段交流の少ない他支店の職員とも顔を合わせる良い機会になっています。支店ごとに優勝を目指して団結するので、チームワークの向上にもつながっているのではないかと。
また、年に2回ほど支店単位での旅行もあります。
――それは楽しそうですね!猪原さんが職場について「ここは特に好きだな」と思うところは何でしょうか。
他の銀行が支店の統廃合を進めるところが少なくないなか、かさしんは新しい支店を増やしたり、既存店舗を建て直したりと、積極的に設備投資をしている点です。
新店舗のオープン時には、各支店から職員が集まって営業活動を行うなど、皆さんから前向きな姿勢を感じます。
効率よりもお客様優先。そんな姿勢に惹かれて入社
――猪原さんがかさしんを選んだ理由を教えてください。
就職先を選ぶ際、地元で働きたいという気持ちが強かったことと、さまざまな年齢や業種の方と幅広く関わりを持てる仕事に就きたいと考えていました。そのような中で、命の次に大切なお金を扱う仕事に携わることで、やりがいを感じられるのではないかと思い、大学卒業後、かさしんに入組しました。
いろんな金融機関があるなか、かさしんを選んだのは最も地域に根ざした金融機関だと感じたからです。先ほども話しましたが、効率よりもお客様のために足しげく訪問している姿勢に感銘を受けました。
――仕事をされる際に心がけていることは何でしょうか。
他の仕事でも同じかと思いますが、健全に経営をしていくためには成果が求められます。そのためにも与えられた目標達成を意識しますが、数字に囚われすぎずお客様の立場に立ち、お客様にとって得になる提案を心がけています。
こうした提案を積み重ねていくと、お客様から「猪原さん、ありがとう」と言っていただけることが増えるんです。10年以上続けてきたからか、今ではお客様のお知り合いや子供の相談にまで乗って欲しいと言われることも増えてきたんですよ(笑)。
昔、外回りや営業をしていた頃は、こちらから「お金を預けてください」「借りてください」という提案をすることがほとんどでした。今でもこちらから提案させていただくことはありますが、お客様がお客様を紹介してくださって、それが業績にも結び付くようになってきたんです。
また、分からないことは放置せず、常に理解を深めるよう努めてきました。例えば、融資業務で様々な書類を扱いますが、「なぜこの書類が必要なのか」といった疑問を持ち続けることで、知識の蓄積にもつながったと思っています。お客様に明確に説明できるようになれば、安心して手続きを進めていただけます。
融資は契約して終わりではなく、返済が完了するまでが融資です。丁寧な説明と対応を心がけ、トラブル防止にも努めています。
――長く継続されてきたなかで、お客様との信頼関係をしっかりと築かれてきたのですね。そんな今、この仕事のどんなところにやりがいや面白みを感じていらっしゃいますか。
かさしんの使命は、お客様のお金に関する悩みを解決することだと考えています。
例えば、個人の住宅ローンの相談では最適な借り方を提案したり、年金受給世代の方々に対して年金受給の手続き方法や、繰り下げ受給のメリット・デメリットなどをアドバイスしたり。また、企業であれば設備投資の際に利用可能な補助金の情報を提供します。
さまざまな金融に関する悩みを解決し、個人や企業の夢や目標の実現をサポートすることができる仕事です。そんな仕事をしていて、お客様から「猪原さんに相談してよかった」と言っていただけることが、私にとって大きなやりがいになっています。
金融を通じて地域の人口増加と雇用創出を。企業を誘致し、地域活性化に貢献したい
――金融の知識は、日常生活にも役立ちそうな印象があります。
そうですね。仕事で得た知識がプライベートでも活用できるのも、この仕事の魅力の一つだと思います。
金融の知識は生活に密着しているので、将来の自分の家の購入や両親の年金相談にも活かせます。私は「ファイナンシャルプランナー」の資格を取得したのですが、お客様と会話する上で役立っています。
――かさしんでは、皆さんファイナンシャルプランナーの資格取得を目指すのでしょうか。
資格取得は自己成長の機会であると同時に、お客様へのサービス向上にもつながっています。だから、かさしんとしてもファイナンシャルプランナーに限定せず資格の取得は推奨しており、財務や法務に関係する資格も取得しているんですよ。
私がファイナンシャルプランナーの資格を取得したのは、お客様に適切な提案をするためです。取得後は、お客様のライフプランに合わせた商品の提案や、一般的な税金や年金についてのアドバイスがより丁寧に出来るようになりました。
――有益な資格を取得できる機会が得られるのはいいですね!
そうですね。資格取得の勉強だけでなく、さまざまな業種の経営者とお話しする機会も得られるので学べることはとても多いです。
特に印象に残っているのは、創業時の苦労話ですね。会社を軌道に乗せるまでの過程や、困難な時期に出会った人々とのつながりが現在の成功につながっているという話は、非常に興味深かったです。
金融の専門知識を身につけることも大切ですが、それ以上に様々な業界や経営者の方々の経験を間接的に学べることが、この仕事の大きな魅力でもあると感じています。
――最後に、かさしんで働きながら今後実現したい目標について教えてください。
笠岡市を含むこの地域は、人口減少が課題となっています。私たちの最大の目標は、金融を通じて地域の人口増加と雇用創出、そして地域の活性化に貢献することです。
具体的には、他県から誘致した企業の経営者に笠岡市のことを知っていただき、かさしんのサポートで経営を軌道に乗せていただきたい。そうすることで雇用が生まれ、新たな住民が増え、さらには子供が生まれて人口が増加していく。このような好循環を生み出すことが、笠岡の発展にもかさしんの成長にもつながると考えています。
とても大きなことですが、継続的に取り組んでいくことがかさしんの、そして私個人の目標です。
また、こうした考え方や目標は、2年目、3年目の若手職員にも伝えるようにしています。私自身も先輩から話を聞いて、今の考えに至りました。将来的に笠岡市や岡山県全体が盛り上がることが最も重要だと考えています。
そのため、若い世代にこの考えを伝え、彼ら彼女らが成長した時にまた次の世代に伝えていく。このように、地域発展に対する意識の高い職員が増えていけば良いですね。
(取材・執筆:大久保 崇)
笠岡信用組合について
ホームページ:https://www.kasaoka.shinkumi.jp/
採用情報:https://job.mynavi.jp/25/pc/search/corp232758/outline.html