愛媛宇和島の味と文化を届けるかどや。霞邸・日比谷邸二人の店長が語る飲食業界で働く面白さとは

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written by ダシマス編集部

愛媛県宇和島市。真珠や真鯛の養殖に柑橘の生産量が日本一という同市は、海の幸と山の幸、どちらにも恵まれた豊かな場所です。こうした宇和島の食やおもてなしの文化を提供するのが株式会社かどや(以下:かどや)。「宇和島から松山、東京、世界へ。ALLかどやで、面白い会社を創る」をビジョンに掲げ、食を通じて人々の暮らしに感動と喜びを届けています。

かどやは2023年現在、地元宇和島に4店舗、松山に12店舗、東京に7店舗と着々と成長しています。コロナ禍の影響で特に厳しい環境にさらされた飲食業界ですが、逆境にも負けず2020年~2021年間で8店舗も開店しています。

今回はそんな勢いのあるかどやの霞邸店長の宮土知香(みやづち ちか)さんと、日比谷邸店長の加賀城愛(かがじょう あい)さんにインタビューを実施。東京の店舗を任されるようになったお二人は共に宇和島市出身。地元の食文化を届ける仕事に誇りを持ち、10年近く、かどやとともに歩んでこられました。

長く勤めても、かどやはずっと居心地が良い場所だと語る二人。その魅力は一体どこにあるのか。かどやの裏側から飲食業界で働く魅力まで様々なお話を伺いました。

 

かどや 霞邸 | 愛媛・宇和島 郷土の味とおもてなしを世界へ かどやグループ

かどや 日比谷邸 | 愛媛・宇和島 郷土の味とおもてなしを世界へ かどやグループ

 

宮土 知香(みやづち ちか)さん

宮土 知香(みやづち ちか)さん

愛媛県宇和島市出身。高校卒業後、菓子メーカーへの就職を経てかどやへ転職。宇和島店舗で4年間勤務し、現在はかどやの東京1号店である「かどや霞邸」の店長を務める。お客様に喜んでいただけるお店作りを目指して10周年を迎える霞邸で新人の教育にも優しく熱心に取り組む。趣味は神社・仏閣めぐり。

加賀城 愛(かがじょう あい)さん

加賀城 愛(かがじょう あい)さん

愛媛県宇和島市出身。高校卒業後、かどやへ就職。宇和島、東京店舗の店長を経て、現在はかどやの旗艦店となる「かどや日比谷邸」で店長を務める。“かどやの真の心と技でのおもてなし”をモットーに、グローバルにも対応できるチーム作りを実践中。趣味は愛犬と遊ぶこと、料理。

執筆:大久保 崇

執筆:大久保 崇

『ダシマス』ディレクター。2020年10月フリーランスのライターとして独立。2023年1月に法人化し合同会社たかしおを設立。“社会を変えうる事業を加速させ、世の中に貢献する”をミッションとし、採用広報やサービス導入事例など、企業の記事コンテンツの制作を支援する。猫ファーストな人生。歩くこと、食べることが好き。

宇和島から東京へ。偶然にも同じ境遇で今に至る二人

 

――まずお二人のご経歴からお伺いします。どうしてかどやに入社されたのでしょうか。

宮土知香さん(以下:宮土):かどやに入社したきっかけは、叔母がかどやのファンだったことです。

私の生まれは愛媛県の宇和島で、高校卒業後にまず八幡浜のお菓子メーカーに就職しました。ですが数年後、父の介護が必要だったので退職しました。父が亡くなった後、再度就職するため一から就職先を探し始めたのですが、その時に叔母が、実家近くにあるかどやがアルバイト募集をしていることを教えてくれたんです。

叔母は今香川県に住んでいるのですが、生まれは宇和島で、地元に帰ってくる時は必ずかどやに行くくらいの大ファンなんです。大好きなかどやがアルバイトを募集していたので、私に教えてくれました。それで興味が湧いたので応募し、採用してもらったのが入社の流れですね。

 

――それからなぜ東京に来られることになったのでしょうか。

宮土:宇和島の弁天町店で4年ほど勤めた頃、家庭の都合で東京に行かなければならなくなりました。かどやも退職しなくてはいけないのか……と思いきや、奇跡的なタイミングでかどやが東京に出店するという話が出たんです。それで「東京のかどやで働かせてほしい」とお願いしたら、今いる霞邸で働けることになりました。今年(2023年)の7月に霞邸で働き出して丁度10年になるので、もう14年ほどかどやで働いています。

ちなみに加賀城さんとはじめて出会ったのは、宇和島で最初に勤務した弁天町店なんですよ。

 

 

――お二人には宇和島から東京に転勤されたという共通点があるんですね。では続いて加賀城さんもお願いします。

加賀城愛さん(以下:加賀城):私も同じく生まれも育ちも宇和島です。入社のきっかけは高校の恩師にかどやを紹介してもらったことです。高校を卒業してからの進路を就職か進学かで迷っていたのですが、先生が就職先としてかどやを勧めてくれました。配属先は宮土さんと同じ弁天町店です。

東京に店舗ができるタイミングだったこともあり、一緒に仕事できたのは数ヶ月でしたが、宮土さんが教育係として私に大事なことをたくさん教えてくれました。

そして弁天町店で3年ほど働いた後、店長を任されます。ただ、私は入社した時からずっと、東京に出てみたいという気持ちを持っていました。入社面接の際に社長から「東京に新しいお店を出そうと思っている。出店したら行きたいか」と聞かれた際も行きたいと答えています。

弁天町店の店長になって2年が経った頃、いろいろと経験も積ませていただいたので改めて社長に「東京に行きたい」と話しました。そのタイミングが、東京大学内に『四季郷土料理かどや 山上亭』を出店することが決まっていた時だったんです。

それで新規店舗の立ち上げから一緒に関わらせていただくことになり、東京に来ました。弁天町店で5年、東京も2024年の4月で5年になるのでもうすぐ10年になりますね。

 

10年経っても好きなまま。東京でも宇和島の温かみを感じられる職場

 

――お二人とも長く仕事を続けられているようですが、それだけ続けられたのはなぜでしょうか。

加賀城:私は数年ごとに様々な体験をさせてもらっていることが大きいですね。

先ほどお話したように入社して3年で店長になり、まず一層のやりがいを感じる機会がありました。そして東京でゼロからの新店舗立ち上げを経験し、さらに2年後はもう一店舗、東京大学医学部附属病院内にある『レストラン かどやてらす』の立ち上げにも関わっています。その後、日比谷邸の店長になりました。

東京にきてから3店舗を経験していますが、同じかどやでも形態も特色も全く違います。ずっとかどやで働いているのですが、様々な経験から刺激を受けたので仕事はずっと面白かったですね。今は他店舗にヘルプで入ることもあります。

宮土:私もヘルプに行くなどして、他の店舗の様子が知れると刺激を受けます。他の店舗の工夫や良いところを知り、そこで得た学びを自分の店に持ち帰って変えることはよくありますね。

 

――常にチャレンジできる環境が良かったのですね。

加賀城:そうですね。会社が不思議と良いタイミングで機会を与えてくれますし、自分から主張すればその声をしっかり汲み取ってもくれるのでチャンスを作ることもできます。ここはそういう会社ですね。

宮土:かどやは居心地が良い職場で、嫌な会社だと思ったことがありません。私が14年続けてこられたのはそれが理由です。

加賀城:私たちだけでなく、長く続けている人は他にも多いんですよ。いつも顔ぶれが変わらず、仕事のイベントで愛媛に帰った時はいつも知った顔の人がいて安心感があります。

 

――居心地の良さの秘密があれば伺いたいです。

加賀城:地元のかどやも含めて同郷の人が多いので、心が許せる空気感があるんですよね。あと愛媛ではかどやの名は知れている方なので、東京のかどやにも愛媛の人が来てくださいます。だから割とどこにいても、宇和島の温かみを感じられるので居心地がいいのかもしれません。特に霞邸ではよく方言が飛び交っていますよね(笑)。

 

――お客様もお店に行くと愛媛に帰ってきた気がするのかも。

宮土:お客様からも「方言で喋ってみて」とよく聞かれますね。反対に東京は方言がないので、方言の可愛らしさを狙ってあえて使うこともあります(笑)。スタッフも皆、聞いているうちに方言を理解していくので、地元の東京や愛媛以外の出身でも日常で使えるレベルになっていますよ。

 

店長という立場だから感じる喜びと乗り越えたい壁

――お二人ともそれぞれ、店長としての立場で働かれていますが、日頃どのようなことにやりがいを感じていますか。

加賀城:私は人が育つことで店長としての仕事にやりがいを感じます。また、スタッフに何か新しいことを教える際は、「まず自分が実際にしてみる」ということを大事にしていますね。より良くなるような方法を自分でいろいろと試し、自分が納得してできるようになってから伝えます。

スタッフの皆が成長し、お店全体が良い方向に向かったと実感できると嬉しいですね。特に売り上げのように、目に見えるものに反映されると達成感があって一層やりがいを感じます。

宮土:先日お客様から「あなたがいるからお店にきた」と言われたことがあったのですが、その言葉を霞邸で働く他のスタッフが言われているのを聞くと、とても嬉しく思います。

お客様にまた行きたいと思っていただくためには、「ちょっとした世間話もするけど距離感を間違えない」という、相手が心地よく感じられる接客が大事です。スタッフは自主的に私や先輩の対応を見ながら学んでくれています。

私も皆が成長したことが見えると、店長としてのやりがいを感じますね。

 

料亭だからこそ“食”のマナーや振る舞いの大切さをリアルに体験できる

 

――では反対に今感じているお店の課題など、リアルにぶち当たっている壁は何でしょうか。

加賀城:率直に言って、今の課題は人手不足です。これは多くの飲食店が抱えている悩みだと思いますが、私たちも同じく課題だと思っています。

ただ、人の問題は採用を頑張るだけで解決できるようなことではありません。今の働き方も見直しつつ変えていくことが必要です。

特に飲食店は、まずアルバイトとして働き、環境が良いと感じて社員になりたいというケースも考えられます。こうしたケースを増やすためにも、日々改善に取り組んでいます。自分でもいろいろと試しながら、やりがいを感じられる職場に変えているところです。

 

――何か試したことで、これは良かったと思う取り組みがあれば教えてください。

加賀城:今まさに取り組んでいる最中ですが、実は全日空さんからの出向でCAさんにきていただいています。

全日空という一流の企業から見て、私たちの店舗で改善できるところを指摘していただいたり、CA的なチームワーク力のノウハウを教えていただいたりしています。店舗のサービス力の向上を図り、スタッフも自信を持って接客してもらえるようになれば、日比谷邸での仕事が一層やりがいのあるものになると考えているからです。

この取り組みはまだ始めたばかりですが、その内、簡単な勉強会を開き他の各店舗も巻き込んでマネジメントの方法など共有し合うことも考えています。

 

――それは学べることがたくさんありそうですね。

加賀城:CAさんのような方がいることで、一層お店の雰囲気が絞まります。何より違いを感じるのは、外国人のお客様に対するサービス力というか配慮が行き届いていることです。

私自身も外国人の方との接点があまりなかったからか、対応する際はどうしてもたじろいでしまいます。頑張って英語のフレーズを覚えても、いざ接客となると上手く出来ないこともしばしば。そんな状態で何年も対応していたので大変勉強になっています。「グローバルに強いお店にする」ということもお店の一つの目標にし、皆で頑張っています。

宮土:私たち霞邸も、同じくスタッフが少ないことが大きな課題です。新しく入ってもらう若い人が続けられるにはどうすればいいか日々考えています。教える側の問題点は何か。昔からのやり方を続けているだけでは上手くいかないと感じています。

例えば、過度に言葉を強く指導することはもう古いと感じているので、もっと相手に寄り添った教え方をしようとしています。

加賀城:今は働く選択肢が多いですから、教え方も含めて自店の環境を見直し続けることは本当に大事です。

今はもう学生のアルバイトといえば飲食店、という時代ではありません。ただ時代が変わっても、飲食店でしか学べない素養やスキルはあります。例えば、社会人として身につけておきたい接待などの食のマナーや作法です。

もしかすると「上座・下座」の違いも、昔に比べると知っている人は減ったかもしれません。他にも日本食の前菜から出てくる際の食べ方、お酒の注ぎ方や飲み方、その料理の由来など、私の同性代でも知らない人は多いのではないでしょうか。

こうした知識は知っていて損はありません。それがアルバイトで働きながら身につくのは飲食店の良いところだと考えています。こうした勉強ができるという面も含めて、楽しく働けるのが飲食店の仕事の醍醐味ですから。

 

経営と現場の風通しの良さが“かどや”らしさ

 

――飲食店で働く面白さが伝わりました。その上で、かどやさんならではの特徴もお伺いしたいです。

宮土:頑張った分がしっかりと評価に反映されることと、従業員と経営陣の距離が近いことですね。経営と現場はどうしても離れがちな関係ですが、かどやは社長をはじめ、副社長や事業部長まで気軽に相談できる人が本当に多いんです。現場や従業員の声を吸い上げてくれるところが、かどやの魅力だとお伝えしたいですね。

お客様に関してのことでも、「今日はこういうお客様が来られました」など、気兼ねなく話せます。社長自ら、わざわざお店に電話をかけてきてくれることもあります。本当に気兼ねなく話せる感じが良いんですよね。

加賀城:私もそこはまったく同感で、社長もですが東京にいる営業部長には何なら恋愛相談までできるくらいに安心して話せます(笑)。

「上に立つ人が良い人」というのはかどやの一番良いところかもしれません。改めて振り返ってみると、自分が長く続けてこられているのも、根本的にそこが一番大きいと思います。本当にカジュアルな感じで距離が近いんですよね。

そのカジュアルさが自分のキャリアにも繋がります。例えば、私は今英語の勉強をしているので「もし海外にお店を出すなら行かせてください」と言うのですが、恐らく海外に出店することになったら本当に行かせてくれると思っています。

それは私のやる気や意欲を見て、頑張っている人にフォーカスしようと思ってくれているからです。もちろん意欲だけでなく、結果を出さなければ希望は叶いませんが、その過程ややる気もしっかり見てくれていると感じています。

ただ、これは私が10年近く働いているからといったことは関係なく、誰に対しても平等に見てくれています。かどやで頑張る人には誰にでもチャンスがあるんです。

あと、お店のコンセプトや雰囲気はどの店舗も違うと思うのですが、働く雰囲気はどの店舗も似ていると思います。店舗によって若干客層は違いますが、働く仲間達はどこの店舗でも同じスタンスです。ヘルプで入っても全くアウェイ感なく働いてもらえると思っています。

宮土:あと、とても印象に残っていることがあって、それは社長が「会社のためではなく自分のために働いていいんだよ」と言われたことです。会社のためにしなくてはいけないといった働き方ではなく、働く私たちの生活が豊かになるために働いてほしいと言われました。その考えがとても好きです。

加賀城:私ももう一つ思い出しました。

 

――何でしょうか。

加賀城:まかないが美味しい(笑)。

宮土:確かに美味しいね(笑)。

 

――それはとても大事ですね(笑)。

 

かどやにはかどやにしかできない体験がある

 

――この記事を最後まで読んでくれた求職者の皆さまへ一言お願いします。

加賀城:新卒に限らず、転職を考えている人も気軽に問い合わせてほしいと思っています。何らかの形で前職の経験を活かせる場になればいいと思っていますし、私が知らない専門性や知識・スキルはぜひ教えてほしい。そうした知識や経験を活かして、私たちの足りないものを補ってもらいたいです。

お互いの専門性を活かしながら、一緒に成長を実感できるように働けたらと思っているので、ぜひお越しください!

宮土:アットホームな雰囲気ですが、芸能関係の仕事をしている方も働いているお店です。シフトも融通が利くので働きやすい環境だと思います。接客のいろはから食のマナーまで学べることが多く、かどやならではの体験ができるのでぜひお越しください!

 

かどやについて

・ホームページ:https://www.kadoya-taimeshi.com/

・採用情報:https://www.kadoya-taimeshi.com/recruitment/

 

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