入社式 ほっこり笑顔を 想像し 今年も頼む 気仙沼ケーキ
written by 田野百萌佳
インビジョンの入社式には、毎年新メンバーの名前入りのケーキが届く。
贈り主は、宮城県気仙沼の「コヤマ菓子店」。小山さんの実家だ。
インビジョンの入社式には、毎年新メンバーの名前入りのケーキが届く。
贈り主は、宮城県気仙沼の「コヤマ菓子店」。小山さんの実家だ。
気仙沼に恩返し。小山さんの想い
インビジョンの起爆屋・小山さんの故郷は宮城県気仙沼市。実家は100年続くケーキ屋「コヤマ菓子店」だ。しかし2011年、震災がお店を襲う。4世代に渡り守ってきたお店が、津波により一瞬で全壊したのだ。それ以来、お店を営む小山さんのお兄さんは気仙沼の復興支援団体のリーダーを勤めている。小山さん自身も「気仙沼への恩返し」を志しブログで気仙沼の情報発信をしていたので、復興への想いは人一倍だった。
小山さんがインビジョンに中途入社したのは2016年5月。入社前の面談から、社長の誠吾さんに気仙沼のためにもっと何かしたいんだというモヤモヤを話していた。すると、誠吾さんが「2ヶ月後の新卒内定式、気仙沼でやろう。小山、企画考えてよ」と声をかけてくれた。
インビジョンの内定式は、毎年アウトドアで行うのが恒例。学校の新入生歓迎遠足のようなものだ。
小山さんは、それはそれは真剣に2ヶ月間1人で企画を考えた。
その時のことを、小山さん、誠吾さんはこう話す。
誠吾:びっくりするぐらい緻密だったよね。分刻みのスケジュールで、どこのメディアに取材してもらうとか、古屋さん(=カメラマン)へのお願いとかも細かくまとめて(笑)
小山:当時は人を頼ることを知らなくて(笑)
気仙沼×インビジョンのおダシたっぷりな内定式
1日目、内定者、社員、誠吾さんファミリーが気仙沼入り。震災から5年後の気仙沼を、新卒2年目だった智菜さんは振り返る。
智菜:正直びっくり。建物も全部流されたまんま。TVでは復興したみたいに報じられてるけど、5年経ってるとは思えなかった。
震災の爪痕はあまりに大きい。だからこその恩返しだ。
この時、小山さんの想いがみんなの心に響いた。
翌朝7時、気仙沼魚市場を見学。市場から船に乗り、この日のために作ったインビジョンの大漁旗を掲げていざ出港!ここからがメインイベントだ。
沖に着き、波に揺れるいかだの上で漁を体験した後、待ちに待った内定書授与。
地元の新聞社やTV局にも取材を受けながら、天気を味方につけたように晴渡った青い空と海に包まれた絶好のシチュエーションで、無事内定書が授与された。(余談だが、ビビリだった内定者のナベさんは誠吾さんに向かって「早くくださいよ!」と言い放ったという。)
その他にも漁で採れた海鮮BBQ、小山さん行きつけの居酒屋で飲み会、小山さんのご両親やコヤマ菓子店を継ぐお兄さんとご対面、広場を貸し切ってインビジョンのプロモーションビデオを撮影...気仙沼だからこそのコンテンツ目白押しだった。
順調に進んでいるように思えたが、企画者・小山さんは終始不安を抱えていた。
「やべ、時間押してる、、うまくいくだろうか、、、」
(余談だが、小山さんを最もピリつかせたのは時間ではなく、撮影に使うため用意したドローンの垂直落下故障だった。笑)
そんな思いで作り上げた内定式には、「気仙沼への恩返し」だけでなく、「第一次産業に触れて、ビジネスが誕生する瞬間に立ち会ってほしい」「働くって面白い!と身をもって感じてほしい」という思いや、0から1を生み出す難しさが詰まっていた。
内定式は無事終了。2ヶ月間企画に精を注ぎ、進行をやりきった小山さんの目からは自然と涙が溢れ出た。
小山:地元にみんながいるのが不思議で。でも嬉しくてたまらなかった。
内定式後、各メディアからしばらく取材が止まらなかった。
一般的な形式とは全く違う内定式が話題を呼んだのだ。
智菜:当時、内定式に何十万円もお金をかけるって衝撃で、ピンと来てなかった。でも参加して取材も目の当たりにして、コンテンツになるという価値がわかった。そして何より「これが大人の青春だ!」って!
誠吾:4年経って、またこうやって記事にできるしね。
毎年の風物詩、気仙沼ケーキ始まる
翌年4月、入社式を一番心待ちにしていたのは、小山さんだった。
気仙沼で内定式を迎えた、もはや甥っ子のような子たちがやっと入社してくる。
小山さんはいてもたってもいられず、サプライズでコヤマ菓子店のお祝いケーキを用意していた。それから毎年、気仙沼から届くケーキはインビジョンの風物詩となっている。
そして実は2020年、コヤマ菓子店が9年越しに元の場所で再オープンしたのだ。
その場所から、7月に予定より3ヶ月遅れで入社したメンバーのもとにケーキが届いた。コヤマ菓子店再始動とインビジョン13期全員集合。「待ってたよ」という思いがこもったケーキで祝われたメンバーには、どんな活躍が待っているのだろう?
1人の人の1つの想いをカタチに。インビジョンの文化はそうやって作られているのだ。