小さな町でエステサロンを開業。女性の“華”を応援し、地域を元気に。
written by 川西里奈
地域での暮らしを紹介する連載、第6回目。
栃木県・那珂川町ののどかな道の傍らに、ひときわ目立つ看板を発見!
こんなところにプライベートエステサロン!?奥に進むと一軒のきれいな家が。扉を開け、一歩入るとそこは・・・
江口美香子(えぐち みかこ)
栃木県・西那須野町出身。那珂川町で、2016年7月にプライベートエステサロン『FLEUR(フルール)』を開業。ボディメイクエステやパーソナルトレーニング、ダイエット指導、体型補正下着の代理店なども行う。
町で唯一!オールハンドのエステサロン
__はじめまして!一見お家のように見えましたが、ここは本当にエステサロンなんですね!
江口美香子さん(以下、江口):はい。一階は自宅で、二階が女性限定のエステサロンになっています。完全プライベートな空間なので、お子さんをお連れいただいく方も多くいらっしゃいます。
__お客さんはこの辺の方が多いのでしょうか?
江口:実は遠方からが多く、茨城や福島の辺りからもお越しいただいています。年齢も20〜60代までどんどん幅広くなっていっていますね。
__えー!そんな遠くの方にも選ばれるのはなぜなんですか?
江口:オールハンドのダイエットメニューを扱っているのですが、那珂川町にはオールハンドのメニューのあるエステサロンは他にありません。ダイエットメニューでは機械を使うことも多く、もちろん機械のメリットもあるのですが、手でしかできない細かい部分もあるんです。そこが強みですね。
▲予約は1組ずつ、完全個室のプライベート空間。
__なるほど!他にはどんな特徴があるんでしょうか?
江口:お客さんのリバウンドを徹底的に減らしたい!という私の思いから、“卒業”を目標にしたダイエットメニューも組んでいます。
__卒業ですか!?
江口:ダイエットに成功しても体型を維持するには、お客さん自身が知識をつける必要があります。そのために、通いながら自分に合ったダイエット知識をつけてもらい、卒業を目指していくという感じです。
ダイエットメニューの他にも、トレーニングメニューもあります。小顔や肌質の改善、シミやくすみを除くフェイシャルコースや、光脱毛コース、バストアップコースなどエステ分野のほとんどを用意させていただいています。
__那珂川町にもマッサージや整体はあるかと思いますが、エステサロンはどう違うのでしょうか?
江口:私個人としては、疲れを取るのはエステ、体を治すのは整体やマッサージだと思っています。エステはオイルで素肌を触るので、マッサージとは別のリラックス効果がありますね。アロマを使うと香りでも癒やされて、自律神経も緩みます。うちでは快眠効果のあるオイルを使ったりもしています。全身のリンパを流すと体の疲れが取れ、終わったあとの軽さが全然違いますよ。
__実際受けた方からはどんな感想が多いですか?
江口:一番人気はボディメイクですが、必ず一回で変化するので驚かれる方も多いですね。目で見て変化を実感することができるから、続けることができるんです。
疲れた人に「癒やし」を提供したい
__江口さんは、なぜ那珂川町でエステサロンをやろうと思ったのですか?
江口:エステの専門学校卒業後、大手エステサロンに就職し、宇都宮に勤務していました。東京や仙台などへ研修やヘルプで入ったりと忙しい中で、二人目の子どもが生まれたのをきっかけに、自宅でサロンをオープンしました。
でも、ここに引っ越してきた頃は自分でサロンをやることは考えていなかったんです。
__ではどうして開業されることにしたのでしょう?
江口:私はエステをするのも受けるのも好きで、育児で疲れたとき、私にとってのリラックス方法はエステしかありませんでした。でも、調べてみると那珂川町にはエステサロンがなくて・・・びっくりですよね!
それで、那珂川町で一軒目のエステサロンをやろうと思って開業しました。
__なければ自分でやろう、となるなんてすごいポジティブですね!
江口:はい(笑)。でも子どもを預けてエステに行くのはなかなか大変ですよね。だから、もっとお母さんたちが気軽に行けるように、子連れでもOKなエステサロンにしました。
お子さんの年齢にもよりますが、授乳を途中でしてもらっても大丈夫ですし、もう少し大きなお子さんであれば、パーソナルジムのコースにいっしょに参加することもできます。
__今はどれくらいのお客さんが来られるんですか?
江口:始めたときは月2〜3人来ていただければ十分だろうなと思っていて、あまり規模を広げるつもりはありませんでしたが、今はほとんど毎日予約が入っている状態ですね。
▲リラクゼーションメニュー以外に、パーソナルトレーニングのコースも。
「田舎だから美意識が低い」なんて言わせない!
__毎日予約も入っていて、ひとりでエステサロンを経営するのは大変ではないですか?
江口:大手のエステサロンに勤めていた頃よりも、自分の体をケアする時間もとりながら無理なく働けています。それに、子どもといっしょに居られる時間が増えました。時間に縛られないので、保育園のお迎えも早く行けるのがうれしいです。
__大手サロンに勤めていたときは、ストレスもあったのですか?
江口:いえ、あんまり色々と気にしないタイプなので(笑)。当時も楽しかったですが、今は休みも気兼ねなく取れるのが良いなと思いますね。
__小さな町で開業することについて、不安はなかったですか?
江口:主人は背中を押してくれましたが、周りは心配してましたね。「本当にお客さんは来るの?」って。それと、「田舎に行くほど美意識が低いから、経営は大変だよと」と言われることもあって、それは悔しいなと思いました。
田舎だから美意識が低いなんて、絶対にそんなことはなくて、美容系のお店がひとつもないなら出て行くことになるだけ。それなら自分で作るしかない!って思いましたね。
「変な噂が回ったら終わりだ」などと忠告も受けましたが、そんなこと気にしていたらお店なんか始められませんよね。誠心誠意やっていれば応援してくれる人は必ずいます。
今では、那珂川町にエステサロンがあってありがたいと言ってくれる人のためにがんばっています。
輝く女性の姿が、町を元気に
__Fleur(フルール)というお店の名前にはどんな意味があるのですか?
江口:フランス語で“華やか”という意味が含まれています。よく、若い人には華があるって言いますよね。でも、年齢は関係なく女性にはみんな華があります。女性が輝くことで、町の活性化にもなれば良いなと思いますね。その思いもあり、『ベストオブミス栃木大会』2019、2020年度ではダイエット講師もさせていただきました。
女性が輝く姿が好きなので、那珂川町からも、ミスコンに出場したりモデルを目指したりする女性が出てきたらすごくうれしいですね。
__今後やりたいことはありますか?
江口:もしこの地域で大きなサロンができれば、美容に興味のある若い人が外へ出て行かずに働ける場所にもなると思います。自分の技術を伝えていくことができるように、今後も成長していきたいと思います。
取材を終えて
那珂川町で発見したエステサロンの看板の向こうには、完全プライベートな癒やし空間が広がっていました。「小さなことを気にしていたらお店なんてできないですよ!」とポジティブな江口さん。明るい笑顔と前向きなお話を聞いているうちに、女性の輝きは元気な町づくりに必要不可欠なのかも、と感じました。