お客様も社員も、関わる全ての人を大切に想う経営。道央自動車トップインタビュー

レッド

written by ダシマス編集部

北海道札幌市に本社工場を構える道央自動車株式会社(以下:道央自動車)。車の整備・点検や車検、そして中古車の買取りから販売まで展開しています。

過去、ダシマスでも、同社で活躍する谷藤さん谷さんを取材しました。それから約2年ぶりとなる今回、専務取締役を経て2020年に代表取締役に就任された大谷潔(おおたに きよし)さんに取材します。

大谷さんはどのような経緯で道央自動車の代表取締役になったのか、また、会社を経営するうえで重視していることは何か。大谷さんのこれまでの歩みとともに語っていただきました。

道央自動車株式会社 代表取締役 大谷 潔(おおたに きよし)さん

道央自動車株式会社 代表取締役 大谷 潔(おおたに きよし)さん

生粋の道産子で地方育ち。子供の頃からバイクや車が大好きでいつも傍らには乗り物が。紆余曲折の人生を、沢山の人に助けられて生きてきたことが自分の大切な軸となる。人を大切にしながら共に成長し、社会に必要とされる企業を目指す経営者。

執筆:大久保 崇

執筆:大久保 崇

『ダシマス』ディレクター。2020年10月、在宅ワークをするためにフリーランスのライターとして独立。2023年1月、クライアントの重要なパートナーとして伴走するべく法人化。“社会を変えうる事業を加速させ、世の中に貢献する”をミッションとする。

「かっこいい大人」が人生の指標に

 

――道央自動車に関わる以前のことからお聞かせいただけますか。

高校卒業後、縁あって交通道路の維持管理作業を請け負う会社に就職しました。そこでは中途採用が多く、新卒で入ったのは私が初めてだったんです。それで先輩から「お前いい会社に入ったな。40年も働けば退職金は1000万円になるぞ」と言われました。それを聞いた時、正直に抱いた感想は「40年で1000万円は少ないんじゃないか……」ということでした。

また、よく遊んでいた2つ上の先輩が病気で急逝したことがあったり、バイク事故で重症を負った友人がいたりして、自分の身にもいつそんなことがあってもおかしくないと思っていたんです。そんなこともあり、時間を無駄にしない生き方をしたいと考えるようになっていたので、頑張った先にもっと魅力がある環境で働きたいと思いました。

また、同時期に趣味のサーフィンを通じて出会った投資家の方がいたのですが、世界中の海でサーフィンを楽しむ自由な生き方をされていたんです。そんな生き方を知り、毎日を無為に過ごすのではなく、自分で人生を組み立て、やりたいことに挑戦していくのが「かっこいい大人」だと考えるようになりました。そのときから「かっこいい大人」を目指すことが、自分の人生の指針になったんです。

とはいえ、縁あって入社した手前、義理があるのですぐには辞めず3年間は勤めました。

 

――その会社を退職してからはどうされたのですか。

夢はあるのに何をしたらいいのかわからず、当時は17社ほど会社を渡り歩きました。どういう仕事が自分に合うのか探すために、いろんなことにチャレンジしましたね。

一時期は勤めず請負で仕事を受けることもありました。稼げる月は前職の3~4倍稼げることもありましたが、仕事がなくて収入がほとんどなかったことも。仕事がないときは昼も起きられないようなダメな生活をしていました。そんな日々が3~4年ほど続きます。

そんななか、親友2人の存在が私を奮起させました。一人は良い会社に入り香港で事業を成功させ、もう一人は高校を中退して若くして起業し成功。それに比べて私は、やることなすこと全部うまくいかず、このままでは本当にダメになると危機感を抱いていました。当時、苫小牧にいたのですが、環境をガラッと変えるために仕事も何も決まっていないまま、とりあえず札幌に行きました。

それから紆余曲折あり、あるベンチャー企業に営業として入社します。この会社が、後に道央自動車の親会社と合併することになるのですが、その際にチャンスをいただき道央自動車の役員になりました。30歳の時のことです。そして2020年5月に代表取締役となり、今に至ります。

 

人を大切にし、信頼関係を築く経営

――これまでの人生経験は経営に生かされていますか。

そうですね。今振り返ると、経営の基礎は子供の頃の経験が強く影響していると感じています。

小学生の頃、低学年からの親友がいたのですが、私が高学年になって不良グループに入ってからは疎遠になっていました。そのグループ内で私を含め複数人がいじめの対象になったんです。不良たちのことなので、周りは怖がっていて見てみぬふりだったのですが、そのときに声をかけてくれたのが疎遠になっていた親友でした。

このとき「仲間は選ばないといけない」と痛感したんです。そして、親友に恩返しをしたいと思うようになり、他人を大切にするということを学びました。

生きていくには、人と助け合っていくことが大切です。そう思っているからこそ、一人でできる範囲を自覚し、誰にどうやって力を借りるかが私の経営スタイルの根幹にあります。

私が役員として来た当時は、まだ中古車販売事業はなく、整備工場としての機能しかありませんでした。当時の私は整備については素人同然で、良し悪しの判断ができません。だから私が何か仕事を取ってきても、整備士の皆さんが思うように対応してくれず悩みました。ただ、案件の条件はひどかったと思うので、協力的ではなかったことが今は理解できます。

私は整備士の信頼を得るために、数週間、実際の現場を見させてもらい、コミュニケーションを重ねました。昼は必ず一緒にご飯を食べ、仕事が終わった後も何時間も話し合う。そうするうちに、私を信頼してくれる人が少しずつ増え、チームワークが生まれていきました。

 

 

――人を大切にする。シンプルですがとても大事なことですよね!そんな大谷さんが、一緒にはたらく社員さんたちに意識して伝えていることはありますか。

整備する際、「車の向こうにはお客様がいるということを常に意識してほしい」と伝えています。

例えば、お客様が「何か異音がする」と言って、車の点検・整備の相談をされたとします。整備士は原因を特定して修理するのですが、直ったと思ってお客様に確認していただくと「直っていない」と言われることが時々あるんですよね。こういうケースが起こるのは、車だけを見て判断しているからです。

お客様の表面的な申告だけでなく、言わなかったことまでくみ取るのがプロの仕事。法定点検の基準をクリアするだけでは不十分で、お客様が気づかなかった部分まで気を配るのが理想的です。お客様は整備の検査内容や項目を詳しく知っているわけではないですし、「細かく言わなくても、とりあえず預けておけば全部直っているだろう」と期待されています。

こうした期待に応えるためには、整備士とお客様のコミュニケーションが重要です。だから「お客様とは気になることは何でも伝え合える関係性を築くことが大切」だと、現場の人たちに伝えるようにしています。

中古車販売でも同じことが言えます。私たちは売買事業においては後発組なので、他社と同じことをしていては埋もれてしまうだけです。

そこで私たちは、徹底的に市場調査をして価格を見極め、お客様の課題を解決するというスタンスで取り組んできました。「世の中から不誠実な取引をなくす」というビジョンを掲げ、お客様との信頼関係を大切にしています。

私たちが買い取りをさせていただく際、「道央自動車が言うのならそれが適正価格なのだろう」と言っていただけることは多いんです。それは説得によって納得してもらうのではなく、世の中の流れや車の価値を丁寧に説明し、お客様に理解していただいたうえで取引しているからこそ。中古車販売事業を始めてからはクレームはほとんどなく、この業界では珍しくリピーターも多いのが特徴です。

人を大切にする仕事が、私だけでなく自社としての軸になっていると思っています。

 

一人ひとりに裁量権を与え、成長とやりがいを感じる職場を目指す

――取締役になった当初、整備士の方々と密にコミュニケーションを取り、社内環境を良くしていったとありましたが、今現在、職場の環境づくりで重視されていることはありますか。

重視しているのは「社員の成長」です。成長できる環境づくりを、何より大切にしています。そのために、社員一人ひとりに裁量権を大きく与えています。仕事のやり方から職場の文化まで、自分たちで作り上げられる環境があることが、社員の成長につながると信じているからです。

 

――自分で考えて行動できるのは、仕事のやりがいにもつながりそうですね。

そうなんです。人に言われて取り組んだ仕事よりも、自分で考えて行動した結果なら「これは俺の成果だ!」と胸を張れるじゃないですか。その充実感を社員にも味わってほしくて、いろいろ工夫しています。

また、働きやすい職場も目指しています。望まない転勤はしませんし、労働条件は話し合いで決めます。中古車販売事業を立ち上げた際も、定休日の設定は社員と話し合って決めました。祝日と月1回の日曜日を休みにしているのですが、この業界ではとても珍しいと思います。

営業の仕事をしていて、「販売業だと日曜・祝日は休みがなくて家族と一緒に過ごせないのはしょうがない」と思っている人は少なくないと思うんです。でも家族の立場からすると「しっかり休んでほしい」と思うのが本音ではないでしょうか。

だから私にとっては、お客様に喜んでもらう以前に、社員とその家族が喜んでくれることが大事なんです。お客様の満足度向上は、社員の満足度向上があってこそだと考えています。

 

評価を積み上げ、売上規模100億の企業へ

 

――最後に、今後の展望をお聞かせください。

まず、売上規模100億円をひとつの目標として掲げています。ただ、売上ありきではなく、お客様から評価され、「道央自動車いいよね」「あそこの営業さん良かったから、何かあったら電話しよう」と思っていただけるようにし、その結果として、売上目標を到達したいと考えています。整備事業でも同じです。

今後も社員にさまざまな成長の機会を提供したいからこそ、まずは会社の規模を一定以上に成長させる。会社の成長は社員のため、という気持ちが強いですね。

また、私たちは「移動と輸送を通じて地域の課題を解決し、社員と社会を豊かにする」という企業理念を掲げています。北海道の地方では、過疎化が深刻な問題となっていて、私の出生地である名寄市も、かつて4万3千人以上だった人口が現在は2万5千人と私が産まれてから42%近く減少しています

こうした地域の課題解決に、大手企業は電気自動車や自動運転、タクシーなどの新しいサービスで貢献しようという動きがあります。私たち地域企業も、地元への恩返しとして、コミュニティを守るお手伝いができればと考えています。1社だけでは難しいかもしれませんが、他社とも連携しながら取り組んでいきたいですね。

まだ準備中ですが、具体的にはレンタカー事業に進出したいと考えています。インバウンド需要の増加に伴い、交通事故のトラブルは増えているみたいなんですね。例えば、事故を起こしても自分に非はないと主張する外国人ドライバーへの対応に、日本人スタッフは疲弊しています。これは個人が悪いということではなく、国の文化の違いによる考え方の違いによって起こるものです。こうした地域の課題を、私たちなりの視点で解決に導けるのではないかと考えています。

 

――最後に、求職者の方にメッセージをお願いします。

世の中にはすでに素晴らしい会社がたくさんあります。大手一流企業で働くのももちろん良いことです。でも私は、道央自動車でトップ企業になるために挑戦し続ける会社で働く面白さを知ってもらえたらうれしいと思っています。

私の話に共感していただける人なら、きっと充実感を持って仕事ができるはず。ぜひ私たちと一緒に成長していきましょう!

 

道央自動車株式会社の詳細はこちらから

ホームページ:https://www.douou-car.com/

採用情報:https://hr-hacker.com/douou-car

 

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