楽しくなければ仕事じゃない。牛乳宅配デミック 最年少マネージャーの仕事論
written by ダシマス編集部
明治の特約店として、全国4万世帯に乳製品を届ている株式会社デミック。その関西エリアの代表取締役を務める梶谷 正樹(かじたに まさき)さんは現在33歳。グループ内でも最年少のエリアマネージャーです。デミック関西の事業変革のため果敢にチャレンジを続ける梶谷さんに、これまでの歩みを語っていただきました!
梶谷 正樹
株式会社デミック関西 エリアマネージャー 兵庫県明石市出身の33歳。就職活動では50社以上の会社にエントリーシートを送るも、すべて不採用になる。そんな中、書類不要のデミックを知り説明会に参加。代表のビジョンに共感して新卒で入社し、5年後には関西エリアの代表取締役に就いた。デミックの次代を担うネクストリーダーの一人。
店舗に広がった「いけるやん!」の雰囲気
―――はじめまして! まずはご経歴を教えてください。
梶谷:新卒でデミックに入社して今年で10年です。ほとんどの同期は営業の責任者の方へとキャリアが進んでいったんですけど、僕だけなぜか橿原の店舗に配属されてしまい、そのときは「出世街道から外れてしまった…」と思っていました(笑)。
橿原に務めて1年半後に店長の研修を受けさせてもらい、入社2年後に店長になりました。そこから店長として実績を積んで、入社3年半後に関西のエリアマネージャーに、さらに入社5年後に代表取締役になりました。そのままずっと、関西エリアを担当しています。
―――順風満帆のように聞こえます。昇進のきっかけとなるような、なにか大きな成果を残されたのでしょうか?
梶谷:店舗では、契約の総件数を前年より増やしていくことを大体の目標にしています。それを150件ぐらい伸ばすことができたのは大きかったですね。
―――実は、梶谷さんが店長をしていた頃の「採用社員インタビュー」を読ませていただきました。当時「スタッフが、一番といえるような店舗運営」を目標にされていましたね。どういうことをやってきたのでしょうか?
梶谷:店舗にいる営業専門の社員って、一人か二人しかいないんです。その人数で取れる契約の数はやっぱり知れてます。
他方で、配達のスタッフは各店舗に10人から20人ぐらいいるんです。業務契約上は、彼らに営業を頼んでもよかったんですね。なので、この配達員さんによる訪問営業にはすごく力を入れてやりました。
―――それは…すんなりと実現しそうにないプランですね。訪問営業を志望する方ばかりではなさそうです。
梶谷:最初は1人しかやってくれませんでした(笑)。「自分がやらんと周りは動かん」と思って、スタッフを連れて自分で実践してみせて、というのを繰り返しましたね。配送の方は60〜70代の方が中心でみなさん人生の先輩なので、認めてもらうにはもうそれしかないと思ってました。
まずは自分でやってみせることで「訪問営業いけるやん!」みたいな雰囲気が徐々にできてきて、最終的には全員が協力してくれるようになったんです。
―――全員が参加してくれたのはすごいですね!
梶谷:やっぱり仕事って楽しくないと嫌じゃないですか。働いている人たちも、そういう気持ちでやって欲しいと思っていたので、「訪問営業に行く」というよりは「お昼ご飯を食べに行こう」という感じで続けてきたんですよね。出発する前に「今日の昼はどこで食べましょうかね?」なんていう話をして。
配達日とは別日に出勤してもらっても、契約が取れなかったら給料もでないんです。それでも一緒に楽しくやっていると仲間意識も強くなって、どんどん輪が広がっていきました。
「あなたに会いたい」。お目当てはあの営業マン
梶谷:サービスの面でも、お客さまに楽しんでもらうことを一番に考えてます。「食を通じて健康を繋げる」ことはデミックのミッションの一つですが、心が豊かであること、笑顔でいられることが、健康につながるのだと僕は思うんです。
そこを目指してここ2〜3年、力を入れているのがイベントを通じた営業活動です。毎月だいたい20〜30回、大型の商業施設で既存のお客さまに向けた特売回を開いています。いつも50組ぐらい来ていただけるんですよ。
これだけ好評いただいているのは、プレゼントがあったり抽選があったり、いろいろと楽しんでいただける要素を多くしているからだと思いますね。
それに、営業担当者はご契約いただいたお客さまの顔と名前を必ず覚えるようにしています。会場に来られた時にこっちから声をかける。そうすると、すごい距離が近くなるんですよ。お子さま連れのお客さまには、お菓子やジュースも用意して、営業担当者が話をしている間に、お子さまの対応をするスタッフを付けたりもしています。
―――新規顧客の営業は、また別でやっているんでしょうか?
梶谷:それがこの2年間、新規顧客獲得のための訪問営業はほとんどやっていないんです!イベントでお客さまと名前で呼び合えるような関係ができると、まず、継続率がすごい高くなったんですね。
毎月、僕らと顔を合わせるなかで、健康の話とかいろいろな話をさせていただきました。商品や僕らのサービスについて、より良く理解していただけるようになると、今度は口コミの紹介が¸すごい多くなったんです。
―――お客さまの方から来てくれるようになったんですね!
梶谷:人とのつながり方はすごい大事だと感じますね。お客さまが紹介の方を連れてきてくれたときも、担当じゃない営業が対応すると「あなたに会いたかったんじゃないのよ」って言われてしまったり(笑)。
また、イベントでお客さまと対面するようになって、僕らのサービスもみるみる変わっていきました。宅配の牛乳ってお客さんと深いつながりがあるように思われがちなんですけど、結局のところ配達員によるんですよね。イベントを始めるまでは、会社としてつながれていませんでした。
直接お客さまと話すなかで、集金を宅配のボックスで支払うシステムへの抵抗感であったり、「商品が冷えているとうれしい」というご意見であったり…そうしたお声に対応することで、もっとお客さんに寄り添ったサービスが展開できるようになったんです。
結果として、若い世代のお客さまもグンと増えましたし、人材の離脱も、訪問一本で営業をしていた頃よりも少なくなりました。
―――好循環が続いていますね。
求めるのは行動力のあるチームプレイヤー
梶谷:イベントを続け、お客さんが増えていく中で、今度は「イベントのない日も商品を買いたい」というご要望が出てきました。
そこで2020年の12月にトナリエ清和台にオープンさせたのが、実店舗の「DEMI DELI FARM」です。乳製品を専門に扱ったテナントショップみたいな形をとって、お客様とのコミュニケーションの場として機能させようとしています。
オープンして半年が経ちましたが、継続して利用してくれる方も増えてきています。2店舗目、3店舗目と増やしていって、更に多くのお客さまとつながっていきたいと思っています。
―――今後入社する方は、DEMI DELI FARMやイベントの運営に携わっていくのでしょうか?
梶谷:はい。営業に関しては、まずはイベントが中心です。今、新しくイベントのチームを作りたいので、そこのリーダーを目指してくれる方を採用していきたいと思っています。具体的には、アルバイトさんのスケジュール管理だったり実績の管理をする管理職です。
また、もっとお客さまに喜んでもらえるイベントやサービスを作っていくために、なにができるか考え、自ら行動していく力も必要です。
デミックの社風として、社歴や年齢や経験に関係なく、自分がやりたいことを後押ししてくれるんですね。絶対に押さえつけたりしないんです。それに成果を上げたら、ちゃんと評価してくれる。僕が入社しようと思ったのも、そういう文化が自分に合っていたからです。
―――「成果主義」と聞くと個人プレーを連想しますが、梶谷さんはワンマンで強引に物事を進めるタイプではないように感じました。
僕は一人で仕事をするのは苦手なんです。それよりも、みんなで一緒にがんばったときの達成感が好き。だから会社の雰囲気もどちらかというと暑苦しい(笑)。お昼ご飯も基本一緒ですし、懇親会とかも多い。みんなが同じ方向を向いているので、チームで支え合う雰囲気があると思います。
―――個人プレーよりチームプレーが求められているんですね。
梶谷:そうですね。営業活動もチームで動くので、自分のためより人のため、の方が大事です。
後はやっぱり、何事も楽しさは忘れないこと。それはまず僕が見つけないといけないと思ってるので。「業務パンパンでしんどい!」みたいな顔だけはしないようにして。自分もみんなも、朝はいつも元気よく「おはよう!」って言えるような環境を作っていきたいです。
―――では最後に、デミック関西の今後のビジョンを教えてください。
梶谷:「地域密着から、超・地域密着へ」ですね。今の店舗でカバーしている範囲は広すぎるように思うんです。もっとお客さまと密接に関わることができる業態であれば、お客様に認知されて、この先5年10年と生き残っていける。
現在計画している店舗の暖簾分けやDEMI DELI FARMの他店舗化は、そのための最初のステップです。次代のデミック関西を一緒に作っていく、店長候補、社長候補の応募は大歓迎です。
編集後記
イベント営業の導入はデミック関西にさまざまな好循環をもたらしましたが、もともと勝算があったわけではなかったそう。現在の繁盛の陰には、お客さまへのプレゼントや取り扱う商品の吟味、お客さまへの声掛けなどの、地道なサービス改善の努力がありました。その原動力となった梶谷さんの「仕事を楽しむ気持ち」と「お客さまに喜んでもらいたい」というサービス精神の大切さは、忘れずにいたいところです。
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