男性育児休業のリアル――あいおいニッセイ同和損保では1週間の休業を推奨。制度を利用した現場社員の声
written by 大久保 崇
CSV✕DXの経営計画を核に、社会のあらゆるリスクに備える保険を提供するあいおいニッセイ同和損保株式会社(以下:あいおいニッセイ同和損保)。従来の保険にDXによるデータを活用したノウハウを加え、社会の課題を解決し成長を続けています。
そんな同社はダイバーシティ&インクルージョンの重要性も謳っており、多様な人材を会社の“人財”として考え、従業員の働く環境の整備にも力を入れています。※同社では2025年度末に「1か月取得100%」を中期経営計画目標に掲げ、段階的に取り組んでいます。
今回、話を伺ったのはそんな同社で営業として活躍する小林巧(こばやし たくみ)さん。小林さんのお人柄やご自身から見た職場の印象を伺いつつ、長女、次女が産まれた際に育児休業を取得した際に感じた、リアルな感想まで語っていただきました。
【インタビュイー】
営業 小林 巧(こばやし たくみ)さん
1993年6月21日生まれ(現在29歳)。2016年4月1日あいおいニッセイ同和損害保険株式会社入社。野球好き。妻、2歳8か月の長女、11ヶ月の次女の4人家族。所属 三河支店 豊田支社。
仕事とプライベートをしっかりと切り離せるからこそどちらも充実する
――まずは小林さんがあいおいニッセイ同和損保さんに入社した理由を教えてください。
何社か面談をした中で、一番早く内定をいただいたこともあって、あいおいニッセイ同和損保への入社を決めました。入社のきっかけは自分の趣味ですが、働くにつれて仕事に面白みを感じるようになりましたね。
仕事というのは、一人ひとりの頑張りや成績が積み重なってチームやユニットの成果に繋がります。そんな個々の頑張りをしっかりとピックアップし、褒める風土が根付いているのが弊社の良いところです。
以前、別の部署にいた時、100人くらいのユニット内で毎週、成功事例を共有するということをしていました。その中で特に良かった事例を、部署のトップが「良い事例ベスト3」という形で表彰してくれていたんです。その部署にいた当時、入社3~4年目だったのですが、私の事例も何度か取り上げていただきました。
“頑張れば評価される”と明確に実感できたので、当時、とても自分のモチベーションが上がったことを覚えています。
――それは良い文化ですね。とはいえ、専門知識が必要な保険の世界の仕事。経験が浅い頃は苦労されたこともあったのではないでしょうか。
そうですね。お客様からは保険のプロとして見られるものの、入社したばかりの頃は上司に言われたことをただ実践しているだけで、何か質問をされても答えられないことがよくありました。お客様の方が保険に詳しいことも多々あり、当時はそれが辛かったですね。
その問題を解決するため、座学的な勉強で知識を得るのではなく、現場でお客様の声から学ぶことを重視しました。お客様が今何を求めているのか、仕事の現場で皆はどんな提案をしているのかといったリアルな情報は日々変わります。そんな教科書に載っていないようなことを知るためには、恥を忍んでとにかく声に出して聞くことが大事だと考えていたからです。こうした学びを続けた結果、保険の仕事で本当に大事な提案や考え方を学べたと思います。
――そんな小林さんが、仕事をする上で大事にしていることを教えてください。
お客様の安心や事故解決はもちろんのこと、間に入っていただく代理店や自身・会社の収益にも繋がるかどうかを自分の行動基準にしています。その上で“事故が起きないための保険”をモットーに営業をしています。
――事故が起きないための保険とはどういう保険なのでしょうか。
例えばドライブレコーダーがオプションで付けられる保険があるのですが、取り付けたレコーダーを通じて、運転の安全性を評価できるようになります。急スピード、急ブレーキ、速度超過などを検知し、「今回の運転は90点」など点数で評価されます。そしてこの点数が良くなると、保険料が安くなるという仕組みです。
お客様にとっては保険を使うことよりも、事故が起きないことが一番良いですよね。多くの人が保険料を安くするために安全運転を意識するようになり、事故そのものを減らしていけたらいいなと。
――仕事に対する考え方をもう少しお聞かせいただければと思うのですが、小林さんにとって“働く”とはどういうことだとお考えですか。
生活していく上で欠かせないもの。だからこそ働くなら稼げる、喜べるような働き方がしたいと思っています。その上で仕事は仕事だと割り切っているところがあるので、割と周りからはドライな性格だと言われることも多いですね。
家では仕事の話をしないので、プライベートと切り離せているからか、あまりストレスも感じていません。仕事そのものはハードワークですが、仕事とプライベートを切り離して考えられているからこそ、業務中はかなり集中して仕事ができているように思います。
多様なメンバーと良い雰囲気作りをしてくれる上司がいる職場
――小林さんは今、どういう立場で業務に携わっているのでしょうか。
今、私がいる事業所では3つほど営業ユニットを編成しているのですが、その内の1ユニットの責任者を任せてもらっています。私よりも経験の浅い社員とチームを組み、営業に関するアドバイスや相談を受ける立場ですね。
その上で、私自身もお客様のところに顔を出し営業活動もしています。昔は飛び込み訪問することもありましたが、今は手紙やメールなどで接点を作ってから電話をし、そこで話が進めば訪問するという営業活動が主流です。あと、コロナの感染予防という観点が加わったことも大きかったですね。いきなり対面で営業することは避けるべきという考え方を持つようになりました。
――小林さんのチームをはじめ、貴社にはどのようなタイプの人達がいらっしゃるのでしょうか。
本当に色んなタイプの人がいるので、やや雑にお答えすると「あらゆるタイプがいる」ですね(笑)。誰と話しても毎回知らない一面や話が出てくるので、毎日がとても新鮮で、面白い組織だと思います。
また、各部署やチームの雰囲気は、そこにどんな上司がいるかによって大きく変わります。コミュニケーションが好きな上司もいれば、プライベートにはあまり踏み込まない上司もいるので、本当に部署によって全く雰囲気が違うんですよね。同じ会社のはずなのに、別の会社ではないかと疑ってしまうほどです。
ちなみに私たちの部署の上司はとても明るい人で、プライベートな話も楽しんでできるような雰囲気を作ってくれています。むしろ、仕事の話よりもプライベートな話の方が多いくらいです。仕事のことで過度に厳しく怒られることもないので、気が張り詰めて余計なストレスを感じないように気をつけてくれているのではないかと思います。
それに加えて、一人ひとりの細かいことまでしっかりと覚えてくれています。
例えば何気ない会話の中で、私が「リアルゴールドが好き」という話をしたのですが、それから時々、会社の冷蔵庫にリアルゴールドを置いてくれることがあるんです。こうした気配りを部署の全員にしているんですよ。
こんな部署にいるので、日に日に働きやすくなっているという実感はありますね。
――そんな環境で仕事をしていく中で、今の小林さんがやりがいを感じるのはどんな時でしょうか。
営業だからということもあると思うのですが、まず上位の成績を収め続けていることが大きなモチベーションになっています。
弊社はさまざまな項目で評価をされるのですが、定期的に自分の進捗状況や社内で何番目の順位にいるのかは常に確認できるんです。その中で上位に居続けることにやりがいを感じますね。負けず嫌いというわけではないのですが、周りに後れを取りたくないという気持ちが根底にあるからだと思います。
男性育児休業の課題と対策。規則の整備だけでなく、当事者の心理的負担を無くすことが大切
――ここからは小林さんのご家庭や育児に関してお伺いします。やはりお子さんの存在は仕事を頑張るモチベーションに繋がっていますか。
そうですね。家に帰ってドアを開けると、娘が笑顔で迎えてくれるので早く帰りたくなります(笑)。
子どもは早く寝てしまうので、帰るのが遅くなると娘と話すことができません。だからできるだけ効率良く仕事を終え、早く家に帰るよう努力しています。動機は娘に会うためですが、早く帰るために効率よく仕事をすると業務に良い影響があるのは間違いないので、どちらにとっても良いことだと思います。
――確かにそうですね。小林家には育児方針や育児の役割分担など、何か決め事はありますか。
明確に何かを決めているわけではありません。妻が育休を取りながら頑張ってくれていて、とても助かっています。ちなみに私も、次女が産まれて半年くらい経った頃には1週間の育休を取りました。妻は2022年10月から職場復帰しています。
――奥様が職場復帰され、共働きになったわけですが育児の関わり方として変化したことはありますか。
少し意味合いが違うのかもしれませんが、妻のやりたいことができる時間を作ってもらえるように心がけています。育休期間は平日も土日も、ずっと彼女が主に育児を頑張ってくれていました。そこに仕事も加わってくるので、何もしなければ一層、彼女の時間がなくなってしまいます。そんな妻がやりたいことができる時間を作るために、取り組んでいくつもりです。
――ご自身も実際に取得されたとのことですが、男性の育休について思っていることをお聞かせください。
今回の件で感じたことでもあるのですが、自分が1週間の育休を取るのは個人的にとても抵抗がありました。制度や会社の雰囲気が問題ではなく、個人的にどうしても仕事のことが気になってしまって休み辛かったというのが本音です。
――会社は社員の育児に対してどのような向き合い方をされているのでしょうか。
誰が育休や産休を取っても問題ないように、色々と体制を整えてくれています。ここ数年は、コロナの影響で急に誰かが休んでしまうということもありました。そんなコロナの影響もあって、誰が欠けても業務が遂行できる体制作りの重要度が増したことも大きいかもしれません。
――ここ数年で、育児に関して社内で変わったと感じることはありますか。
長女が産まれた時は、当時の上司から「せっかくだから育休を取ったらどうだ」と言われたので、とりあえず1日だけ取らせてもらって終わったんですね。育休ですが、個人的には通常の有給休暇を取らせてもらったような感覚でした。
それが今回、次女が産まれる前に相談したら「1週間の取得を推奨します」と言われたんです。その事を聞いた時は斜に構えていて「とはいえ、制度作っただけで実際には難しいだろうな……」くらいに思っていました。でも実際に次女が産まれた後、人事部から個別でメールが届き、そこにも「男性社員の1週間の取得を推奨する」と書かれていたので、本当なのだと実感がわきました。
ただ先ほどお話した通り、個人的には1週間も取得することに抵抗があったので、上司に「実際に1週間休んだら他の人に負担かかって厳しいですよね」と聞いてみたんです。すると今の上司は「絶対その制度使った方がいいから休んで」と、強く背中を押してくれました。そんなありがたい後押しもあって、実際に1週間の育休をいただきました。
――1週間の休暇中、やはり仕事のことは気になりましたか。
それが意外とそうでもなくて。
社内のメンバーやお客様に育休を取得することを話したら、みんな「いいね」や「ゆっくりしてきなよ」など、ポジティブな言葉をくれたので気負わずに休めました。
冷静になって考えれば、もし私が同僚や部下から育休を取りたいと言われたら、きっと同じようにポジティブな返事しかしないと思うんですよ。だから結局は、当事者である自分だけが少し気にしすぎていただけなのかもしれないと、今となっては思いますね。
――小林さんと同じように感じられる人は少なくないと思われます。個人的な見解でかまいません。今後、男性の育休取得をもっと取りやすくしていくためには何が必要だと考えられますか。
当事者が上司や社内関係者に相談しなくていいように、子どもが産まれる場合は育休をほぼ義務化してしまうというのはいいかもしれません。当事者としては、自分から方々に断りを入れたり、一人ひとり確認しに行ったりするのは割と負担になるんです。制度として義務化して関係者に周知されるような仕組みができれば、私のような性格の男性は取りやすくなる気がしました。
例えば、育休に関して人事部から送られてくるメールを「第2子ご誕生おめでとうございます」のような件名にして、当事者とその直属の上司もCCに入れてメールを送る。すると、当事者が気を遣って「実は子どもが産まれるので育休を取ろうかと思っていまして……」という話し方をするのではなく、周りから「おめでとう!」というポジティブな会話から始まるので、かなり話がしやすくなると思います。
――確かに。当事者が周囲に気を遣いすぎて、育休を取得することが心理的な負担になってしまうのは望ましいことではないですよね。
そうですね。上司から「育休いつから取る?」と聞いてきてくれるだけでも、答えやすいし気持ち的にもかなり楽になると思います。
あいおいニッセイ同和損保株式会社について
・ホームページ:https://www.aioinissaydowa.co.jp/
・採用情報:https://recruit.aioinissaydowa.co.jp/index.html