業界の未来を創る。担い手が育つ環境を創出するためにできること【OT作業療法士・佐々木さん】
written by 大久保 崇
人によって仕事のやりがいは異なります。唯一無二の専門的な技術を身につけるため、お客様から「ありがとう」と言ってもらえるため、プライベートを充実させるためなど……。様々な動機が集まり、形成されるのが会社組織です。多様性が求められる昨今、企業側も働き手が最大限のパフォーマンスを発揮できるよう様々な取り組みを実施しています。
千葉県にある訪問看護・リハビリを展開するリボングループは、代表の長島さんを筆頭に常に良い働き方や環境を追い求める文化が根付いています。そんな企業で7年間、OT(Occupational Therapist)作業療法士として勤め、今では4事業所の部門長を担っている佐々木 啓人さんは、自分のことだけでなく業界の未来を考え働くことにやりがいを感じている人です。
そんな佐々木さんに、リボングループでの働き方や仕事のやりがい、今後どのような仕事を頑張っていきたいかなど聞かせていただきました。
【インタビュイー】
佐々木 啓人(ささき ひろと)さん
2006年に帝京平成大学健康メディカル学部作業療法学科卒後、まずはアパレル業界へ就職。約3年後転職し、大阪にある精神科病院の認知症治療病棟で専従作業療法士、千葉県にある公立病院で急性期・回復期のリハビリテーションを担当などするも、再びアパレル業界へ。販売・プレス業務・管理業務を担当。東京・大阪・台湾・中国などで期間限定店舗の出店に従事するなど貢献。2016年にリボングループへ転職。訪問看護ステーションでの業務を中心とし、2017年から船橋サテライトの部門長として勤務。
初めて出会ったその日に「明日から来られる?」。代表の人となりに惹かれて入社したリボングループ
――佐々木さんがリボングループに入社する前はどういったお仕事をされていたのでしょうか。
大学は千葉県の作業療法士の学校を卒業して、まずはアパレルの会社に就職しました。好きなブランドに関わりたかったからなのですが、その会社で3年程勤め自分の中で気持ちが一区切りした後、作業療法士になったんです。大阪の精神科の病院で、患者さんにリハビリテーションを提供する仕事を3年程勤めました。
その後、千葉に帰省し地域の急性期病院で1年間は作業療法士として働きましたが、アパレルで働いていた時の知人から「ぜひ働いてほしい」という声かけがあって、再びアパレルの仕事に取り組むことになります。六本木ヒルズや大阪のルクア、原宿店の立ち上げから、中国・台湾出張などを経験し、約3年経過した頃、結婚を機に今後を考え転職をしたのが現在のリボングループです。
――アパレルは好きなブランドだったから関わりたかったということですが、作業療法士はどういった理由でなろうと思われたのでしょうか。
私は幼少期から常々両親に、資格を持った仕事に就く事の大切さを教えられていました。母は病院勤務で姉も看護師となり、そういった家庭環境から私も作業療法士の資格取得を目指すことになり、自然とこの業界に入っていきました。後には妹も作業療法士になっています。
大学でリハビリの勉強を志したのは、「作業療法士になりたい」というよりは、祖父母や両親の介護が必要になった時に役に立つと思ったからです。幼少期は両親が共働きで祖父母と長く過ごしたこともあり、その恩返しをしたいと思っていました。ですので、大学で学んでいた頃は作業療法士としてすぐに働きたいというよりも、20代の自分がもっとも興味を持っていたアパレルブランドで働くことを選んだ形です。
それからは先ほどお話した通り、アパレルと作業療法士を行ったり来たりしていたので、明確なきっかけがあったというよりは、気づけば自分の居場所がこの業界だったというのが今の感覚ですね。
――なぜリボングループを選んだのでしょうか。
リボングループを最初に知ったのは求人サイトです。検索していた時に1ページ目に表示されたので目にとまりました。
当時探していたのは、基礎からしっかり学び直して働ける環境です。作業療法士の経験はあったものの、アパレルで働いている間のブランクもあったので一から学び直したいと思っていました。リボングループの求人に「経験が少なくて心配な人でも大丈夫」ということが書かれていたので、まずは見学の申し込みをしたんです。
そして見学に行ってみると、最初から代表の長島が出てきたんですよね。そして見学だけのつもりが、すぐに面談が始まって「明日から来られる?」みたいな……(笑)。「私、結婚して妻もいるので、相談もせずに明日すぐなんて無理です」と答えたら、「じゃあ2日くらい待つよ」と言われて、内心「全然待ってないのでは……」と思っていました。
笑い話ですが今振り返ってみると、その時の会話で代表の人柄に惹かれたから入社に繋がったのかなと。見学に行った時は他と見比べたかった気持ちもありましたが、結果的に良いご縁だったのかなと思います。それから入社して7年になりますね。
――誘い方がすごい……(笑)。佐々木さんから見て、代表の長島さんはどんな人でしょうか。
長島自身は人見知りと言っていますが……確かにそうでしょうね(笑)。でも人との縁を本当に大切にする人です。私は長島の温かい人柄を尊敬しています。
社員のために慰労会を企画したり、社員を招いてバーベキューをしてくれたり。そのような会も、準備から率先して実行されるんですよ。そんな社長はなかなかいないと思います。あと、頑張っている人を評価したいという気持ちに溢れている人でもありますね。
――代表との印象的なエピソードはありますか。
入社して間もない頃、リハビリに精一杯取り組んでいたのですが、ご利用者様を看取ることがあったんです。後日、ご家族の方から私の対応についてわざわざ御礼のお電話をいただいたのですが、そのことを代表が評価してくれて褒めてくれました。
その頃に新しく船橋事業所を立ち上げることが決まっていたのですが、リハビリ部門を任せたいというお話をいただいたんです。当時入社して3ヶ月くらいが経過した頃でまだまだ勉強中の身で自信はありませんでしたが、先ほどの話もあり上長や長島が背中を押してくれました。そんな周りの方々の後押しもあり、船橋事業所の立ち上げ業務を引き受けたのですが、あの時の経験が今も活きていると感じています。
船橋事業所のリハビリ部門長を務め、行政との架け橋も担う
――佐々木さんが、仕事をする上で日頃から心がけていることはどのようなことでしょうか。
今は病院で最期を迎えたいという人は少なく、住み慣れた場所で過ごしたいという人が増えています。最期の時を、思い出の詰まったご自宅で過ごしたいと考えるのは当然ですよね。
そのような希望を叶えるため私達は訪問リハビリを行っているのですが、ただ希望を聞くだけではなく、ご自宅でより充実した生活ができるよう専門家としてサポートすることを心がけています。
――現在、佐々木さんはどのような役割を担っているのでしょうか。
今は弊社の船橋事業所の訪問リハビリテーション部門を任せていただきながら、船橋市の訪問リハビリテーション連絡会の会長と、千葉県作業療法士会の理事を兼務しています。その他には、船橋市からの委託事業として会議に助言者として出席しています。
船橋市訪問リハビリテーション連絡会では市内の他事業所のリハスタッフの人達と意見や情報の交換をするなど、自分たちの事業所だけではなく地域との関わりが増えました。また、養成校からの学生の受け入れも積極的に行っています。
――行政との取り組みについて、もう少し詳しくお伺いしたいです。
船橋市は、人のケアを行っていく上で感じている課題の解決に力を入れています。ケアを行っていく中で難しいと感じること、具体的にどのように進めていいのかわからないことなど、方法論やどういったところに着目すればいいかなど会議で話し合っているんですね。
そこに対してリハビリ専門家という立場から、定期的に私を含めた弊社スタッフが参加してアドバイスをさせてもらっています。
――どうしてリボングループがその役割を担うことになったのでしょうか。
リボングループ開設当初からお付き合いがあったことが大きいですね。船橋市の中に介護保険課があり、その課に所属するケアマネージャーさんからよく仕事のご依頼をいただいていました。先ほどお伝えしたような課題解決に向けた取り組みが3年ほど前から本格化し、専門家としてアドバイスしてほしいとお声かけいただいたのが始まりです。
――市にとってもリボングループが心強い存在だったということですね。
地域の中で誇れる存在でありたいという気持ちはありますね。船橋にはリハビリテーションを提供できる事業所は他にも多数あります。競い合いではありませんが、自分達が提供するサービスはどこよりも責任感強く、質の良いものであろうとはしています。
特にリボングループは「ご利用者様の心に寄り添ったケア」という理念を掲げていて、この部分に関してはどの事業所と比べられても、当社がもっともご満足いただけるという自負は持っています。
――人の心に寄り添うため、佐々木さんが心がけているのはどのようなことでしょうか。
相手に対して興味を持つことですね。無理矢理ではなく、誰に対しても自然とできるようになれば、どんな人とも心を通わせることができるのではないでしょうか。
私はアパレル業界のような接客業や精神科の病院でも働いたこともあって、人の心に関する勉強をたくさんしてきました。今はその知識や経験が活かされているように感じます。
実は私も代表の長島と同じか、恐らくそれ以上に人見知りだったんです。人に対して興味を持ち続け、自然なコミュニケーションができるようになってくると、いつのまにか人見知りの気持ちはなくなっていました。
業界の未来のため、地域の同業者を巻き込み担い手が育つ環境作りを実現する
――今後はどのような仕事を頑張っていきたいとお考えですか。
まずは事業所として、これまで以上にしっかりとしたサービスを届けていくこと。これは当たり前のこととして、向上心を持って実践していきます。
リハビリテーションは社会にとって必要な素晴らしい分野であり、人々の可能性を広げる仕事です。ですが診察報酬という面では削減傾向にあり、若手を育成していく経営環境が十分ではない事業所は少なくありません。やはり未来の担い手を育てるには、きれいごとだけでなくしっかりとしたお給料を出すことも必要です。そういった現場の声を、行政や国へ示していくことも頑張っていきたいですね。
訪問リハビリテーション連絡会の関係で他の事業所とも接点ができ、頭を悩ませる課題からこの仕事の素晴らしい面まで様々な話をします。そんな中、「未来に向けて自分たちができることは何か」についても話すのですが、やはり担い手が育つ環境作りに取り組んでいくべきだと感じるのです。
そのためには、リハビリによってどのくらい良くなったのかという結果を、単体ではなく複数の事業所単位で示していくことが大事だと考えています。地域の同業者を巻き込んで、そういった声を大きくしていくことができれば、決して無理なことではない。私はそう信じています。
――そんな佐々木さんが思う、作業療法士のやりがいや素晴らしいと思う点を教えてください。
努力を重ねれば重ねるほど、知識や引き出しが増えて自分の力で支援できる人が増えていくことですね。「自分の努力が直接的に人を助けることに繋がる」、それがこの仕事の最大の魅力です。反対にその努力が少なければ、支援できたはずの人が支援できずに不幸にしてしまう危険もあります。
先ほど、若い担い手を増やすために良い環境を作りたいと話しましたが、もし実際に若い人達がこの業界で働きたいのなら、努力する気持ちを人一倍持ってほしいと思っています。時代の流れとして「プライベートも充実させて仕事も楽しく」という考え方は大切なことですが、私達の仕事は利用者様の人生を背負っているので専門家として努力し続けることは忘れないでほしいんです。
人を治すのは簡単なことではありません。私もこういったことを考えるような年齢になったと感じるのですが、未来を担う若い人達には本当に頑張ってもらいたいと願っています。私達も、そういった人達のために今できることを全力で頑張るので。
プロフェッショナルとしての技術をしっかりと磨き、意識を高く持った上で働く楽しさを追求していきたいと考えています。
――最後にこの記事を読んでくださっている求職者へ一言お願いします。
私自身、不安を解消するためでもありますが誰よりも努力したいと考えているタイプの人間です。アパレルで働いていた時も病院で働いていた時も、環境に順応するための努力を続けてきました。
ですので、しっかりと努力をした上で自分の自由な時間や、自分のやりたいことを主張するような人と一緒に働けたら嬉しく思います。
リボングループは努力したことがしっかりと報われる会社です。本当の意味でやりがいを求める人にとって働きがいのある職場であることは間違いありません。
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